第99回箱根駅伝(2023)BACK NUMBER
勝敗に関わらず、各大学が収穫を得た〈第99回箱根駅伝〉 それぞれが第100回大会への架け橋となる
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph byYuki Suenaga
posted2023/01/13 10:00

第99回箱根駅伝、復路フィニッシュ地点で選手を待つ駒澤大学の大八木弘明監督
距離走、ロングインターバル。7区を走ったキャプテンの鈴木創士(4年)は「泥臭い練習を重ねてきたので、なんとか結果に結び付けたいです」と今季一年を振り返った。そして本選。早大はじっくりと構えた。前半に飛ばすことなく、余裕を持って入り、後半は粘る。レース後、花田監督は選手たちの現在の実力をこう話した。
「今回は、集団になったとしても、我慢するようにと伝えました。今季はそこで自重し、しっかりとついていく練習は出来ていましたから。ただ、集団の前で引っ張り、前を追いかけるような練習をするには、まだ時間が足りなかったですね。これは100回大会に向けての課題です」
中大に次ぐ総合優勝13回を誇る早大。前回のシード落ちから、復活への手ごたえを感じたはずだ。
上野監督「すべてがプラスになった」
1968年以来、実に55年ぶりに箱根駅伝に戻ってきたのが立教大学だった。往路は20位だったが、復路で盛り返して、総合では18位で久しぶりの継走を終えた。いまだに5000mで13分台の記録を出す上野裕一郎監督は、指揮官として臨んだ初めての箱根駅伝をこう振り返る。
「往路はどうなるかと思いました。僕も、選手も悔しい思いでいっぱいで、改めて厳しい現実を突きつけられた思いがしました。それでも、復路の選手たちは頑張ってくれましたね。僕がいちばん恐れていたのは、たすきが途切れ、繰り上げ出発になってしまうことでした」
立大の「江戸紫」のたすきは大手町までつながった。そこに達成感があったのだろう、上野監督の気持ちもたかぶっているように見えた。
「今回の箱根駅伝、立教にとってはすべてがプラスです。自分の実力が発揮できなかった選手だって、経験値が上がったのでプラス。監督、スタッフもすべてが初めての体験ばかりだったので、これもプラス。すべてがプラスになった箱根駅伝でした」
監督たちのそれぞれの思い。第99回大会で得たこと、感じたことは2024年の第100回大会へとつながっていく。
