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「白のユニホームは狙われやすいと聞いていたのですが…」ある女子陸上選手が吐露した“性的画像”被害への思い「最近は無観客なので、集中できる」―2022下半期 BEST5

posted2023/01/03 11:01

 
「白のユニホームは狙われやすいと聞いていたのですが…」ある女子陸上選手が吐露した“性的画像”被害への思い「最近は無観客なので、集中できる」―2022下半期 BEST5<Number Web> photograph by Getty Images

共同通信の報道により世間に広く問題として認識された“性的画像”の被害。その端緒となったのは記者の経験と女子選手の証言だった

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鎌田理沙(共同通信)

鎌田理沙(共同通信)Risa Kamata

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2022年の下半期(対象:9月~12月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。スポーツ総合部門の第1位は、こちら!(初公開日 2022年9月25日/肩書などはすべて当時)。


 共同通信運動部の報道により、JOCなどが動き出し、東京五輪でも話題となった女性アスリートの盗撮被害や性的画像問題。その端緒となった、記者の学生時代の経験と、ある女性陸上選手の告白を『アスリート盗撮』(ちくま新書)=共同通信運動部編〈鎌田理沙、品川絵里、益吉数正、田村崇仁〉=より一部抜粋して掲載する(全3回の1回目/#2#3へ続く)。

俺のどこが盗撮犯に見えたんだろう

 きっかけは意外な出来事だった。

「俺のどこが盗撮犯に見えたんだろう」

 大学時代、スポーツ新聞部に所属し、カメラ撮影を担当した同期の男性が思わず口にした不満をよく覚えている。

 当時、同じ大学の体育会の試合に足を運び、試合後の選手にインタビューをして記事を書き、新聞を製作するという活動に没頭していた。

 特に陸上競技の試合に行くことが多く、春から秋はトラック&フィールドの季節ということで、全国の競技場に行って、観客席から選手たちのレースを見たり、自前の一眼レフと望遠レンズで試合の写真を撮ったりしていた。

 2017年春、その日の大会は同期の男性と一緒に取材をし、彼がカメラ撮影をして、私が取材と記事執筆をしようと役割分担をしていた。

カメラの中身を確認させてもらってもいいですか?

 跳躍種目において、全国大会でも実績のある女性アスリートのA選手が同じ大学にいた。

 その日の取材はもちろん、A選手の試合が目玉だった。

 彼女が競技していた種目の撮影にはこつが必要で、トラックのカーブ前の観客席に位置取って、できるだけグラウンドに近づいて撮らないといけない。カメラのシャッターを押すタイミング以上に、撮影ポイントが重要になる種目だったが、彼はカメラが得意で、跳躍種目もこれまで何度も撮影経験があった。

 それもあって彼に対して特に心配することはなかった。彼も、種目が始まる前に自分でロケハンをしていて、そのまま問題もなく本番の撮影に入ったようだった。

 しかし、種目が終わって私たちのもとに帰ってきた彼はひどく落ち込んでいた。「どうしたの?」と訳を聞くと、撮影中に競技場の係員に話しかけられたのだという。

「すみません......会場で盗撮被害が相次いでいて、カメラの中身を確認させてもらってもいいですか?」

盗撮しているように見られたのがショックなんだけど

 彼に後ろから声をかけた係員は、撮影した写真を見せるようにお願いしてきた。学生連盟が主催の大会だったので、係員も連盟に所属している大学体育会の男性部員のようだった。仕方なく応じてカメラを目の前の係員に渡すと、手慣れた手つきでボタンを押して、撮影写真が保存されたライブラリにざっと目を通した。

「大丈夫です。すみません、ご協力ありがとうございました」

 係員はカメラを持ち主に返すと、謝って持ち場に戻っていったそうだ。

【次ページ】 隠し撮り、よくあるんですよ

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