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「身体が男の子でも、心は女の子」フィギュア“世界初”14歳のトランスジェンダー選手が語る壮絶な半生「女子トイレを使えない嫌がらせも」―2022下半期 BEST5

posted2023/01/02 06:00

 
「身体が男の子でも、心は女の子」フィギュア“世界初”14歳のトランスジェンダー選手が語る壮絶な半生「女子トイレを使えない嫌がらせも」―2022下半期 BEST5<Number Web> photograph by Getty Images

今年10月、ジュニアGPのイタリア大会でSPの演技を披露するマリア・レイクダル。2年前に戸籍の性別を変えたマリアに話を聞いた

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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2022年の下半期(対象:9月~12月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。フィギュアスケート部門の第5位は、こちら!(初公開日 2022年12月7日/肩書などはすべて当時)。

 

 9月7日から10日まで東欧ラトビアの首都リガで行なわれたフィギュアスケートのジュニアグランプリシリーズの第3戦、女子シングル。ブラジル代表として出場した14歳のマリア・レイクダルが、世界的な注目を集めた。
 その最大の理由は、フィギュアスケートの国際大会に出場した世界初のトランスジェンダーの選手だったからだ。14歳にして、トランスジェンダー選手として世界の頂点を争う舞台に立った異色のスケーターはこれまでどのような人生を歩んできたのだろうか。(全2回のうち第1回/続きは#2へ)

身体が男の子でも、心は女の子だと感じたの

 2008年3月29日、マリアはブラジル南東部クリチーバで男の子のジョアンとして生まれた。その2年後に妹タリアが、そのまた2年後に弟カルロスが生まれた。

 やがて、ジョアンは自分が他の男の子とは少し違うことに気付く。

「身体が男の子でも、心は女の子だと感じたの。他の男の子のように髪を短くするのが嫌いで、髪を長く伸ばし、妹の服を借りて着るのが好きだった。でも、そうすると周囲の人がすごく嫌がり、反対した。それがとても悲しかった」

 母親は未婚だった。母は育児を放棄し、祖母に預けられたが、その祖母も扶養する能力に欠け、虐待もあったことから、2014年、3人は市内の孤児院へ入れられた。ジョアンが6歳のときだった。

ジョアンら3きょうだいを迎え入れたのは…

 数年して、ジョアンに手を差し伸べた存在がいる。クリチーバ出身のグスタヴォとクレベール(いずれも男性)だ。2人は孤児院を訪れてジョアンら3きょうだいと一緒に遊んだり、週末だけ自宅へ3人を招き入れ、一緒に過ごしたりして相性を確かめた後、この年の末、彼らを養子として迎えた。ジョアンが8歳、タリアが6歳、カルロスが4歳だった。

 グスタヴォとクレベールはもともと2006年に知り合い、翌年に結婚していた(ブラジルでは同性婚が認められている)。しばらくは2人だけの暮らしに満足していたが、やがて子供が欲しいと考えるようになる。2016年、2人は市の家庭裁判所に養子縁組の希望を出した。そして、ジョアンら3きょうだいを紹介されたのだ。

【次ページ】 孤児院で初めてあった時の印象

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