第99回箱根駅伝(2023)BACK NUMBER
〈第100回箱根駅伝〉で史上45校目の初出場校は生まれるか 虎視眈々と箱根路を狙う大学の現在地
posted2022/11/30 17:00

第99回箱根駅伝予選会で個人37位の結果を残した、麗澤大学の工藤大和(2年)
text by

小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
Yuki Suenaga
歓喜に沸く一方で、泣いた選手が何人いただろう。
第99回箱根駅伝予選会で、悔し涙を流したチームのひとつが麗澤大学である。チーム初となるケニア人留学生を起用し、悲願である箱根駅伝初出場を目指したが、当落線上の10番以内に入れず(14位)、またも失意の底に沈んだ。
前回は駿河台大学が初めて予選会を突破し、今回は立教大学が55年ぶりとなる本大会出場を決めるなど、勢力図の入れ替わりは激しい。過去、麗澤大は二度次点に泣いているだけに、先を越された感は否めないだろう。
毎年のように予選会の注目校に挙げられながら、これまで突破を果たせなかった。惜しかったのは2019年の11位で、10位の中央大学とはわずか26秒の差しかなかった。この時初めて、結果報告の場で山川達也監督が言葉を詰まらせ、悔し涙を流したシーンをよく憶えている。
「(予選会突破)あるんじゃないかと……」
2024年の第100回記念大会に向けて、すでに予選会敗退校の戦いは始まっているが、日本薬科大学や育英大学、慶應義塾大学など、初出場や古豪復活を目論む大学の中でも麗澤大はその最右翼と言えるだろう。
はたしてミラクルを起こせる可能性について、指揮官はどう感じているのか。今年改修されたという麗澤大学陸上競技部の合宿所を訪ねると、山川監督が笑顔で出迎えてくれた。
まずは今回の結果(14位)についてどう考えているのか。監督の口からは、悔しいという言葉が返ってきた。
「ほんと手応えがあって、私の中では通るんじゃないかと思っていたんです。次点までいった時と比べても、チームの出来に遜色はなかった。なんとか初出場を決めたいという選手の思いも本当に強いと感じていて、あるんじゃないかと思っていたんですけどね」
存在感は確かに示した。留学生が上位7名までを占める中、2年生の鈴木康也が全体13位、1年生留学生のデイビッド・シュンゲヤ・ネイヤイが25位で続き、工藤大和(2年)も37位と主戦級の実力があることを示した。だがチーム7番手以降のタイムが伸び悩み、10位で通過を決めた国士舘大学には3分45秒及ばなかった。