第99回箱根駅伝(2023)BACK NUMBER

1位に躍進した大東文化大学、55年ぶり本大会出場の立教大学 第99回箱根駅伝予選会通過校から台風の目は生まれるか

posted2022/11/11 10:00

 
1位に躍進した大東文化大学、55年ぶり本大会出場の立教大学 第99回箱根駅伝予選会通過校から台風の目は生まれるか<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

大東文化大学、立教大学ともに若き監督の手腕に目が離せない

text by

小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

PROFILE

photograph by

Yuki Suenaga

 会釈で挨拶をした方も、言葉を返した方も、表情は晴れやかだった。

「お前のところにぜんぶ話題を持っていかれそうだわ。また飲みに行こう。お疲れー」

 会釈したのは立教大学の上野裕一郎監督で、それに応えたのは報道陣に最後まで取り囲まれていた大東文化大学の真名子圭監督である。両校はこの日、第99回箱根駅伝出場をかけた予選会で周囲を驚かせる大躍進を見せていた。

 箱根駅伝の予選会は各校10名から12名の選手がハーフマラソンの距離を走り、上位10名の合計タイムで競われる。今回の予選会を1位で通過したのは大東大で、本大会出場は4年ぶりのこと。3年間悔し涙を流し続けたチームがトップで通過したことに衝撃を受けた。

 さらに驚いたのは6位に入った立大で、本大会復帰は実に55年ぶり。これまで青学大が持っていた33年ぶりの返り咲きという記録を大幅に塗り替えた。いったい何がこのサプライズを可能にしたのだろう。改めてあの日の両監督の言葉を振り返ってみたい。

上野監督「後半のことは考えずに……」

 予選会の結果が立川の国営昭和記念公園内にアナウンスされてからまもなく、各大学の監督並びに選手たちが控えるテントのすぐそばで記者たちによる囲み取材が始まった。もっとも大きな輪ができたのは、立大が陣取るテントの前だった。躍進の理由について聞かれると、上野監督は真っ先に選手の健闘をこう讃えた。

「今ここにいる部員だけではなく、64名の部員全員が一丸となったことで掴めた箱根駅伝出場だと思っています。昨年は正直、箱根までは見えていなかった。今回は昨年の布石を踏まえて、最初から行けるところまで行くぞと。後半のことは考えないようにして、コンディションが良いうちに前残りをする作戦でした」

 風は弱いものの湿度が高く、レースは後半に荒れると読んでいた。昨年も立大は5km通過時点で上位10名の合計タイムが1位とスタートダッシュに成功したが、後半になるにつれて失速し、最終順位は16位だった。普通に考えれば前回と同じ轍は踏みたくないはずだが、上野監督は同じ作戦を敢行した。今回は後半になっても粘れるだけの走力の上積みがあり、選手の積極性を引き出す狙いがあったのだろう。各チームが序盤、やや自重してスピードを抑える中で、立大の選手たちの攻める姿勢が光った。課題の後半も選手はよく耐えてくれたと監督は評価する。

【次ページ】 全員が3年生以下、留学生もゼロ

1 2 3 NEXT

ページトップ