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“モデルジャンパー”と注目されて…走幅跳・秦澄美鈴26歳の本音と“アスリートのメイク”への思い「自分の好きな見た目でいるのが健康かな」

posted2022/10/04 11:05

 
“モデルジャンパー”と注目されて…走幅跳・秦澄美鈴26歳の本音と“アスリートのメイク”への思い「自分の好きな見た目でいるのが健康かな」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

世界陸上にも出場し、「美しすぎる腹筋」も話題となった秦澄美鈴選手

text by

荘司結有

荘司結有Yu Shoji

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

今夏のオレゴン世界選手権で、13年ぶり4人目となる女子走幅跳代表に選ばれた秦澄美鈴(26歳)。今季、国内の主要大会でタイトルを総なめし、自身初となる世界大会出場の切符を掴んだ。

日本の女子走幅跳界をけん引する存在であるとともに、所属するシバタ工業でレインブーツのイメージモデルを務めた経験から、多くのメディアで“モデルジャンパー”と呼ばれ、そのルックスにも注目が寄せられてきた。

トップジャンパーに君臨するまでの道のりをたどるとともに、自身のモデルジャンパーという肩書きへの葛藤や、女性アスリートのメイク批判に対する思いを聞いた。《全2回のインタビュー前編/後編につづく》

◆◆◆

 6m67の記録を持つ秦澄美鈴は、大学卒業後に走幅跳に本格転向した異色の経歴を持つ。元々はロングジャンパーではなく、ハイジャンパー。高校から陸上部に入部した秦が跳躍に目覚めたのは、ある意外なきっかけだった。

「中学生の時、TVドラマの『花ざかりの君たちへ』にバチバチにハマったんです(笑)。小栗旬さんが走高跳の選手を演じていたのですが、とにかくカッコよくて。それがずっと忘れられず、ちょうど同級生に走高跳をやっている子がいたので、教えてもらうようになったのが始まりでした」

 高校1年時は100mと200mを専門とするスプリンターだった秦。大阪府大会止まりだった成績は、跳躍に出会ってみるみるうちに開花した。

「日本一か……悪くないなって(笑)」

 高校2年から走高跳を始め、3年のインターハイで9位。わずか1年で全国トップクラスの選手に成長したものの、進学先の武庫川女子大学では競技を辞めるつもりだった。いわゆる、“普通のキャンパスライフ”を送りたかったのだ。

「もちろん高跳びは好きだったけれど、その当時の仲間と一緒に練習するのが楽しくて、もう続けなくてもいいかなと。普通にバイトしながら友達といっぱい遊んで、みたいな生活を考えていました。

 でも、たまたま陸上部の跳躍コーチだった伊東(太郎・現監督)先生がクラスの担任だったんです。個別面談で『陸上部入らんか?』って何度も誘われて。『秦だったら三段跳で日本一になれるよ』って言われたら、日本一か……悪くないなって(笑)。嫌だったら途中で辞めればいいし、とりあえずもう一度続けてみようと思いました」

 大学では走幅跳、三段跳を含む三種目に取り組み、走高跳では大学1年で1m82をマークし、自己ベストを10cm更新。この記録はその年の国内ランキング2位に相当し、学生ランキングのトップに立った。

【次ページ】 “モデルジャンパー”と呼ばれることへの葛藤

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