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[最後の夏からはじまった(1)]山本由伸「明かせなかったエースの秘密」

posted2022/08/06 07:03

 
[最後の夏からはじまった(1)]山本由伸「明かせなかったエースの秘密」<Number Web> photograph by Atsushi Hashimoto

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Atsushi Hashimoto

プロ注目右腕の甲子園への道はあっけなく絶たれた。県大会3回戦敗退。最後の打者になったエースはチームメイトとともに人目もはばからず涙した。日本を代表する投手となった今、振り返るあの夏。熱くほろ苦い思いが、少しずつ溶け出していく。

 最後の打者は一塁に頭から滑り込む。

 2016年7月19日。高校野球では定番であるその姿をベンチから静かに見守っていたのは、当時22歳の若さで都城を率いていた監督の石原太一だった。

「勝たせてあげられなかったのは、すべて私の責任です」

 ギラギラと照りつける宮崎の夏の日差しの中で、若き監督はこう語って悔しさを飲み込んだ。下馬評では優勝候補とされていた都城は、3回戦で宮崎商業に0対2と完封負けを喫して甲子園への道を断たれた。

 それから5年後の2021年11月27日。石原はあの時、一塁にヘッドスライディングをした教え子の運転する車の中で、ある告白を聞くことになる。

 告白の主はこの日のヤクルトとの日本シリーズ第6戦に先発した、オリックスの山本由伸だった。山本はこの試合で9回141球を投げ抜き、ヤクルト打線を1点に抑え込んだが、味方の援護なく同点のまま降板。試合は延長12回の末にヤクルトが2対1で制して、日本一を決めた。その試合後、山本はほっともっとフィールド神戸に観戦に訪れていた石原をホテルまで送ると申し出たのだった。

 時計の針は午前0時を回り、日付は28日になっていた。

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