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フィギュア界で脅かされる“女性の健康問題”…鈴木明子36歳が明かす過酷さ「無月経=ハードな練習ができている証拠でした」―2021-22 BEST5

posted2022/05/04 06:00

 
フィギュア界で脅かされる“女性の健康問題”…鈴木明子36歳が明かす過酷さ「無月経=ハードな練習ができている証拠でした」―2021-22 BEST5<Number Web> photograph by Atsushi Hashimoto

五輪に2大会出場している元フィギュアスケーターの鈴木明子さん。現役を引退した現在は、自身の経験を元に「女性の健康」について講演を行っている

text by

小泉なつみ

小泉なつみNatsumi Koizumi

PROFILE

photograph by

Atsushi Hashimoto

2021年から2022年(対象:12月~4月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。フィギュアスケート部門の第4位は、こちら!(初公開日 2022年2月15日/肩書などはすべて当時)。
日本代表として10年バンクーバー五輪、14年ソチ五輪に出場した鈴木明子さん。解説者や振付師としても活動する傍ら、自身が現役時代に摂食障害に苦しんだ経験から「女性の健康」をテーマに講演会なども積極的に行っている。

選手の「低年齢化問題」をはじめ、多くの健康問題が指摘されている現代の女子フィギュア界を鈴木さんはどう見ているのか(全2回の2回目/#1から続く)。

女子選手には「成長」がネックになってしまう

――前編では、「低年齢化」というお話が出ました。平昌五輪で女子シングルの金メダルを獲得したアリーナ・ザギトワ選手は15歳でしたが、なぜ女子フィギュアでは「低年齢化」が進んでいるのでしょうか。

鈴木 昨今のジャンプ偏重傾向が年齢の問題と深く関わっています。

 速くたくさん回転するには凹凸がなく、体の軸が細いほうが物理的に速く回れます。そのため、胸やお尻といった女性らしい曲線が出てくると、高難度のジャンプを跳ぶのが難しくなってくるんです。そういった意味で、高得点が得られる4回転に挑戦する場合、より若い方が有利になってくるわけです。

――そうして小さいうちにジャンプを習得したとしても、年齢や成長の「壁」が出てきてしまうということなんですね。

鈴木 ザギトワ選手が北京五輪に出られなかった理由も、女性としての成長が原因のひとつと言われています。次から次とより若い世代が出てきて高難度のジャンプを跳んでいく一方、自分は次第に身長が伸びてバランスが変化し、前と同じことをしていてもかつてのように跳べなくなる。そのバランスを探っているうちにまた下の世代が出てきて、納得できないまま競技生活を終わらせる選手も出てきてしまう。

 逆に男子の場合、身長が伸び切って筋力がしっかりついてきた時の方がジャンプに有利になるので、女子の方が、「成長」がネックになりがちなんです。

期待していた選手が若くしてリンクを去ることも多い

――ジャンプばかりが注目されるようになると若年化を招きやすくなるだけでなく、フィギュアの多面的な魅力も薄れてしまいそうです。

鈴木 フィギュアスケートには、音楽と一体化した表現というアーティスティックな側面とスポーツ的な側面があって、選手ごとに魅力がまったく異なります。

 もしザギトワ選手が数年後、これまでの経験を活かした表現をスケートで見せてくれたら女子フィギュア界に一石を投じるロールモデルになるだろうと思いますし、私自身いちファンとして、彼女の成長を本当に見てみたい。でも同じように「この先どんなスケーターになるだろう」と期待していた選手が若くしてリンクを去ってしまった例が山ほどあって。

――「成長」が理由で引退していくというのは残念ですよね。

【次ページ】 「年輪が醸し出す魅力があるはず」

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