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大本命・峰竜太はなぜ転覆したのか? 歴代ワースト“41億円”が返還されたボートレースの祭典「賞金王決定戦」を現役記者が解説―2021-22 BEST5

posted2022/05/06 11:02

 
大本命・峰竜太はなぜ転覆したのか? 歴代ワースト“41億円”が返還されたボートレースの祭典「賞金王決定戦」を現役記者が解説―2021-22 BEST5<Number Web> photograph by Japan Motor Boat Racing Association

大クラッシュが発生する直前、グランプリ優勝戦の第1ターンマーク。青の4号艇・瓜生正義の「ツケマイ」を受けて、白の1号艇・峰竜太はギリギリの旋回を試みたが……

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山内翔太

山内翔太Shota Yamauchi

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Japan Motor Boat Racing Association

2021年から2022年(対象:12月~4月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。スポーツ総合部門の第2位は、こちら!(初公開日 2021年12月22日/肩書などはすべて当時)。
12月19日、ボートレース界の年間王者を決める賞金1億円のグランプリ「賞金王決定戦」の優勝戦で、まさかのアクシデントが発生した。1号艇をゲットした大本命の峰竜太が、ターンマークに舳先をぶつけて転覆(妨害失格)。後続の3艇も巻き込まれる形で転覆し、完走はわずか2艇、3連単および3連複は不成立のため返還となった。その返還額は、売上総額42億7752万6800円のおよそ96%にあたる41億1426万3700円。これまでの記録を大きく更新する“歴代ワースト返還額”となってしまった。賞金・売上ともに年間最高を誇り、競馬の有馬記念とも並び称されるレースで、なぜ大クラッシュが発生したのか。デイリースポーツ紙でボートレースを担当する山内翔太記者に話を聞いた。

 1年でもっとも舟券が売れるグランプリの優勝戦は、その年のボートレースの総決算です。最高クラスのSG競走のなかでも、注目度は段違い。優勝賞金も他のSGの倍以上の1億円に設定されていて、まさに「賞金王決定戦」の名にふさわしいレースとして知られています。

 トライアルを突破してグランプリの優勝戦に出場する6人のレーサーは、言うなればボートレース界のトップオブトップです。昨年のグランプリを制覇し、今年も首位でトライアルを通過して有利な1号艇を手にした峰竜太選手は、今をときめくボートレース界の大スター。言わずもがな優勝の大本命であり、多くのファンが「1号艇の峰から勝負だ」と考えていたことは事前のオッズを見ても明らかでした。

峰竜太を飲み込んだ瓜生正義の完璧な「ツケマイ」

 同日のボートレース住之江で、グランプリ優勝戦の直前に行われたSG「賞金王シリーズ」の優勝戦では、2号艇の西山貴浩選手がターンマークにぶつかり転覆。4号艇の篠崎元志選手を巻き込んでしまい、妨害失格となりました。

 このアクシデントが、優勝戦に出場する選手たちに精神的な影響を与えたとは思いません。ボートレースにおいて転覆や落水といった事故そのものは決して珍しくありませんし、賞金王を狙う選手たちは極限まで集中していたはずですから。

 しかし、グランプリ優勝戦でも同様の事故が起きてしまった。まずはっきりさせておきたいのは、峰選手が転覆する前の時点で、3コースからスタートした4号艇の瓜生正義選手のまくりが完璧に決まっていた、ということです。グランプリ優勝戦ということもあって全選手が0.10秒以下と見事なスタートを切ったのですが、2号艇の丸野一樹選手がわずかに凹んだ。瓜生選手はそのスキを見逃さず、内側の艇を押さえつけて高速ターンで前に出る「ツケマイ」で一瞬にして勝負をつけていました。

【次ページ】 「勝つためのターン」が多重クラッシュを生んだ

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