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[前人未到の挑戦を見て]羽生結弦へのメッセージ――ジェフリー・バトル「彼にとって、満足のいく挑戦をすることが何より大事だった」
posted2022/02/26 07:05
![[前人未到の挑戦を見て]羽生結弦へのメッセージ――ジェフリー・バトル「彼にとって、満足のいく挑戦をすることが何より大事だった」<Number Web> photograph by Ryosuke Menju/JMPA](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/c/1/-/img_c184b043ae2ba866c03b363c7153f270378677.jpg)
text by

田村明子Akiko Tamura
photograph by
Ryosuke Menju/JMPA
不運に見舞われたSPからの逆転を懸けて、足首の故障を抱えながら4回転半の大技に挑んだ。五輪の舞台で見せた勇姿に捧げる、盟友たちのエール。
長年にわたって、羽生結弦の振付を担当してきたジェフリー・バトル。北京オリンピックの羽生の演技を見終えて、彼は本誌の独占取材に応じた。最初のジャンプが氷上にあった穴のために失敗という、厳しい出だしになったSPについて、まずはこう感想を述べた。
「エッジが穴にはまってしまったのは、本当に残念でした。ジャンプに入るための体勢などは、完璧に見えたのですが。氷の問題は全てのスケーターの競技人生において起こり得る事故で、ぼくも何度か経験しています。普通は、あと少しこうしておけば、ああしておけば、と後悔の念で圧倒されるのですが、ユヅはそこで引きずることなく、気持ちを切り替えて残りをノーミスで滑り切った。これはなかなかできることではありません」
自らの競技時代の体験と、振付師になった今の両方の視点からこう説明する。
「ミスが出てもすぐに切り替えてというのはコーチ、振付師としては常に生徒に指導すること。でも実際には競技者として、それは簡単なことではない。ここまで多くの経験を積んできた彼だからこそ、可能だったのだろうと思います」
今シーズンのSPのサン=サーンス作曲『序奏とロンド・カプリチオーソ』は、バトルとシェイ=リーン・ボーンのコラボレーションとされている。これまではSPをバトル、フリーをシェイ=リーンが振り付けてきた。二人が一つのプログラムを振り付けるというのは、どのような作業だったのだろうか。