第98回箱根駅伝(2022)BACK NUMBER
駒大、青学大の「強力な補欠」は何区に配置されるのか?区間エントリーから〈第98回箱根駅伝〉を読み解く。
posted2021/12/31 11:00

第98回箱根駅伝は1月2日午前8時スタート。総合優勝の栄誉を手にするチームは果たして――
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph by
Nanae Suzuki
箱根駅伝は、もう目の前。12月29日に区間エントリーが発表され、各大学の監督の戦略、思惑が見えてきた。
見どころのひとつ目は、2区のエース対決だ。連覇を狙う駒澤大学の大八木弘明監督は言う。
「私が走っていた1980年代は『花の2区』という言葉がぴったりで、各大学のエースが集結していました。今の時代はそこまで2区へのこだわりはなくなりましたが、それでもやっぱりいちばん華やかな区間ですし、特に今回は2区が大きな比重を占めることになるんじゃないですか」
大八木監督の言葉通り、今回は2区で激しい主導権争いが繰り広げられそうだ。総合優勝を狙う大学が、区間エントリーの段階でエースの2区投入を明確にしているからだ。
駒澤大学 田澤廉(3年)
創価大学 フィリップ・ムルワ(3年)
青山学院大学 近藤幸太郎(3年)
東京国際大学 イェゴン・ヴィンセント(3年)
学生長距離界を代表する3年生エースが顔を揃えるが、この4人が並走するようになった場合、どんな駆け引きが見られるだろう。自重か、仕掛けか、様子見か。特にヴィンセントと田澤が競ることになれば、国内でもトップレベルの戦いが見られることになる。
「五輪7位」順大・三浦龍司の起用法は?
ふたつ目の見どころは、三浦龍司(順天堂大学2年)の起用区間だ。東京オリンピック3000m障害で7位入賞の快挙を果たした三浦は、まさに「箱根駅伝から世界へ」のスローガンを体現したわけだが、区間エントリーの段階では補欠に入った。
駅伝での三浦といえば、1区のイメージが強い。洛南高校時代から全国高校駅伝では1区、そして順大に入学してからも1年生の時には全日本大学駅伝1区で区間賞を獲得しており、前回の箱根駅伝でも1区を走った。
ただ、三浦が1区を走っても、1区が終盤まで競り合いとなった場合、三浦の走力を大量リードにつなげられないというジレンマがある。そこで、2区起用のアイデアも浮上してくる。順大の区間エントリーを見ると1区が濃厚とはいえ、2区もあるのではないかと思わせる。
もしも、三浦まで2区に回ってきたとすると……「花の2区」はさらに彩りを増す。順大の当日変更に注目したい。