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神の子・山本“KID”徳郁「伝説の4秒跳び膝蹴りKO」を激写したリングサイドカメラマンの告白「ノリくん、俺たちはいつも一緒だよ」――2021 BEST5

posted2022/01/03 11:00

 
神の子・山本“KID”徳郁「伝説の4秒跳び膝蹴りKO」を激写したリングサイドカメラマンの告白「ノリくん、俺たちはいつも一緒だよ」――2021 BEST5<Number Web> photograph by Susumu Nagao

「神の子」と呼ばれた山本“KID”徳郁。2006年、宮田和幸戦で起きた伝説のKOとは何だったのか?

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長尾迪

長尾迪Susumu Nagao

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Susumu Nagao

2021年、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。ボクシング・格闘技部門の第4位は、こちら!(初公開日 2021年11月19日/肩書などはすべて当時)。

 山本“KID”徳郁(のりふみ)が旅立ってから、早や3年。「神の子」と呼ばれたKIDは、正真正銘のスーパースターであり、日本を代表する格闘家だった。彼がリング上で発するエネルギーとオーラは唯一無二のもので、その佇まい、躍動感は、見るもの全てを虜にした。私もそんなKIDに魅了された一人である。彼の試合はどれも鮮明に覚えている。その中でも忘れられないのは、2006年5月の宮田和幸を4秒でKOした試合だ。試合後、私は他のカメラマンや大会関係者から、「よくあの瞬間を撮れたなぁ~」と驚かれた。だが、私は撮れたのではない、確信をもって撮ったのだ。

試合当日、言い表せない「何か」が違った

 KIDは青コーナーで試合をすることが多かった。通常の試合、格上や王者の場合は赤コーナーと決まっている。しかし、彼は「挑戦者の気持ちでいたい」との理由で、対戦相手の入場をリング上で待つ、青コーナーを好んだ。私は対戦相手の入場には目もくれず、試合開始をリング上で待つKIDを撮影することが常だった。

 宮田との試合当日、KIDはチャンピオンだったが、この日も青コーナーで相手の入場を待っていた。明かりが落とされた真っ暗なリングの中で、彼は身体を軽く動かしてウォームアップしている。しかし、いつもと違う。言葉では言い表せないのだが、私はKIDの表情やその動きに、違和感を覚えたのだ。怪我をしてどこかを痛めているのか、調子が悪いのか、メンタル的なものなのか。理由ははっきりしないが、「何か」が違うのである。

「KIDは何か大技を狙っている」

 私はKIDの後楽園ホールでのデビュー戦から、ずっと撮影しているリングサイドカメラマンである。リング上に限ったら、ある意味で、彼のセコンドよりも長く見ている自負がある。その私が、この日のKIDの様子に何とも釈然としない感じを受けたのだ。

 宮田が入場し、リングが明るくなる。中央で両者が向かい合い、レフェリーからルールの確認や注意を受ける。その後は各々のコーナーに戻り、試合開始のゴングを待つ。そのときである。試合直前のKIDを見て、私がこの試合で抱えていた違和感の理由が分かった。

「KIDは何か大技を狙っている。試合開始と同時に仕掛ける」と……。

【次ページ】 リングサイドカメラマンがとらえた「わずか4秒のKO劇」

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