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藤井聡太“竜王”の優勝賞金4400万円、羽生善治“七冠”時は総額1億6500万円、無冠の今は?〈意外と知らない棋士の収入事情〉――2021 BEST3

posted2022/01/06 06:00

 
藤井聡太“竜王”の優勝賞金4400万円、羽生善治“七冠”時は総額1億6500万円、無冠の今は?〈意外と知らない棋士の収入事情〉――2021 BEST3<Number Web> photograph by 日本将棋連盟

藤井聡太四冠が栄光を掴んだ竜王戦は優勝賞金が4400万円だ

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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日本将棋連盟

2021年、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト3を発表します。将棋部門の第3位は、こちら!(初公開日 2021年12月1日/肩書などはすべて当時)。

今年11月に将棋界の最高タイトルの竜王を獲得した藤井聡太四冠(竜王・王位・叡王・棋聖)。19歳で優勝賞金の4400万円を得たのは、まさに「竜王ドリーム」といえる。そこで、あまり知られていない棋士の賞金・対局料ランキング、藤井の収入の推移、日本将棋連盟の財源などについて記す。【棋士の肩書は当時】

◆◆◆

 私こと田丸九段が日本将棋連盟の出版担当理事だった1990年の頃。発行する『将棋世界』誌で、棋士の賞金・対局料ランキングを初めて公表することにした。それ以前は、棋士が対局で得た金額が表に出ることはなかった。

 1987(昭和62)年に創設された竜王戦が賞金・対局料を明示、10代のニューヒーローの羽生善治の活躍、囲碁棋士の小林光一棋聖が年間に1億円を獲得など、時代が変わりつつあった。トップ棋士の収入が増え、公表するのにふさわしい金額にもなった。前述のランキング公表は反響を呼び、一般紙の記事にも取り上げられた。

 1990(平成2)年の賞金・対局料ランキングで、1位は谷川浩司三冠の6310万円。2位は中原誠名人の6180万円。1989年に竜王を19歳で獲得して3000万円の優勝賞金を得た羽生善治竜王は、5230万円で3位に入った。※金額はいずれも推定で、10万円未満は省略。以下も同じ。タイトルを獲得した棋士が、ランキング上位に名を連ねた。

六冠となった1993年の羽生が“大台突破”

 羽生はその後、タイトルを数多く獲得し、同ランキングで1位に続けて入った。1993年には初めて1億円を突破した。1995年には竜王、名人など六冠を取得し、1億6500万円で最高額を更新した。前人未到の「七冠制覇」を達成した1996年は、前年とほぼ同額だった。なお羽生はタイトル賞金や対局料のほかに、CMやイベント出演、書籍の印税、講演などで副収入が多かった。

 国税庁が発表した1998年の納税者ランキングによると、羽生は約7500万円(推定所得は約1億5300万円)で、「その他」部門で上位に入った。

 2020年の賞金・対局料ランキングを見てみると、1位は豊島将之竜王の1億640万円。2位は渡辺明名人の8040万円。3位は永瀬拓矢王座の4620万円。タイトルが無冠となっている羽生九段は6位の2490万円。全盛期の2割以下の金額で、これが勝負の世界の現実である。

2020年と25年前のベスト10の総額がほぼ同じ?

 なお1996年の同ランキング・ベスト10の総額は、約4億3000万円だった。2020年の同ランキング・ベスト10の総額は、25年前とほぼ同額である。棋士の収入が頭打ちになっている背景については後述する。

【次ページ】 2021年の藤井四冠も“大台到達”か?

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