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5年ぶりの死闘、RENAと山本美憂はなぜ“笑顔”だったのか? RENAが「ハッピーエンドにはさせない」と語った裏に《KIDとの物語》があった――2021 BEST5

posted2022/01/03 06:00

 
5年ぶりの死闘、RENAと山本美憂はなぜ“笑顔”だったのか? RENAが「ハッピーエンドにはさせない」と語った裏に《KIDとの物語》があった――2021 BEST5<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

RIZIN.32のメインイベントとして行われたRENAvs山本美憂は衝撃的なKO決着に

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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RIZIN FF Susumu Nagao

2021年、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。ボクシング・格闘技部門の第5位は、こちら!(初公開日 2021年11月24日/肩書などはすべて当時)。

 11月20日のRIZIN沖縄大会には“ご当地ファイター”が大量に参戦していた。地元でのチケット販売の後押しにという目論見もあっただろうし、沖縄で頑張っている選手たちにビッグマッチ出場のチャンスを、という意図も見える。

 オープンしたばかりの沖縄アリーナを、榊原信行CEOは「RIZINの西の聖地にしたい」と言う。継続開催のためには今回の“1発目”がどれだけ盛り上がるかが重要で、そのためにも沖縄ゆかりのファイターの活躍は欠かせなかった。

 沖縄在住、沖縄出身の選手だけでなく、沖縄の基地で働く米兵もこの『RIZIN.32』に出場している。実はメインイベントに出場した山本美憂も“沖縄勢”だった。沖縄を拠点にしていた時期があるのだ。

沖縄で果たしたかった山本“KID”徳郁との約束

 女子レスリングのパイオニアとして知られる美憂は、2016年にMMA転向。デビュー戦に敗れると沖縄の元ボクシング世界王者・平仲信明氏のもとで打撃を磨いた。弟でありコーチでもあった山本“KID”徳郁も沖縄にジムを開設している。

 格闘家としても、また家族全体でも思い出の地である沖縄でRIZINが開催されると聞き、美憂は参戦を志願した。2018年に亡くなったKIDとの“約束”を果たしたいという思いもあった。

 美憂がデビュー戦で闘ったのはシュートボクシング王者のRENA。RIZIN旗揚げとともにMMA参戦を果たすと、劇的な一本勝ちで大会の“顔”の1人となった。2016年9月、美憂にとってのMMA初戦は一本負け。

「やり返すぞ。次は絶対に勝てるから」

 試合後に言ったのはセコンドのKIDだった。その約束を果たすために、沖縄は最高の場所だった。美憂曰く「あの試合で一番悔しがっていたのがKIDでした」。

RENA「KIDさんとも闘うつもり」

 RENAの胸にも、KIDの言葉は深く刻まれていた。試合前には「KIDさんとも闘うつもり、2人と闘うつもりで練習してきました」と語っている。

 美憂もRENAも前回の対戦とは別人だというのが関係者の一致した見解だった。打撃、テイクダウン、グラウンド、それぞれのオフェンスとディフェンス。あらゆる面でレベルアップしたから、独自の武器(RENAは打撃、美憂はタックル)がより活きる。実力も話題性もある選手たちのリマッチは、大会のメインイベントとして組まれた。RENAvs美憂の実現が、大会開催への決め手になった部分もあるという。

【次ページ】 前回対戦以上に鮮やかで衝撃的なフィニッシュ

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RENA
山本美憂
山本"KID"徳郁

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