第98回箱根駅伝(2022)BACK NUMBER
全日本大学駅伝は駒大vs.青学大だったが……〈第98回箱根駅伝〉で“2強”に割って入る大学は?
posted2021/11/19 11:00

全日本大学駅伝は駒大アンカーの花尾恭輔が青学大を振り切って連覇のフィニッシュテープを切った
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Yuki Suenaga
冬の装いが始まると、第98回箱根駅伝がいよいよ迫ってくる。戦力が拮抗する群雄割拠の時代のなか、今年度は分厚い選手層を誇る駒澤大学と青山学院大学の“2強”が一歩リードしている。
箱根駅伝の前哨戦といわれる11月の全日本大学駅伝では、前回の箱根駅伝で13年ぶり7度目の総合優勝を飾った駒大が勝利。最終区で宿敵の青学大とのつばぜり合いを制し、2年連続で歓喜のフィニッシュテープを切った。
エース格の鈴木芽吹(2年)、唐澤拓海(2年)ら重要な戦力を欠くなかで、手にしたタイトルの価値は大きい。10月の出雲駅伝で想定外の5位に終わったものの、3年生主将の田澤廉が中間層に自覚を促し、しっかり立て直してきた。現役学生ナンバーワンの走力を持つエースは、リーダーとしてチームの成長を実感している。
「全体の底上げができてきた。この優勝は自信につながる。主力が少し戻らなくても、箱根駅伝も行けるという流れになる」
苦難を乗り越えた駒大は、手負いでも勢いがある。万全のチーム状態で臨むことができれば、2年連続の全日本大学駅伝と箱根駅伝の二冠にぐっと近づく。
「巻き返す力があることを再認識」(原監督)
伊勢路では主役の座を譲った青学大も、戦力は充実している。区間二桁順位となる選手もいたが、後半に挽回した実力には目を見張る。原晋監督は負けた悔しさをにじませながら、前を向いていた。目立ったのは、区間賞を獲得した4区の髙橋勇輝(4年)、5区の佐藤一世(2年)の好走だけではない。前々回の箱根駅伝で、当時1年生ながらエース区間である「花の2区」を1時間7分3秒という1年生日本人最高記録で走破し、区間5位と活躍した岸本大紀(3年)の完全復活に加え、エースの近藤幸太郎(3年)が駒大の田澤と互角に近い走りを見せたことをプラスに捉えていた。
「箱根駅伝への手応えは感じている。巻き返す力があることを再認識した」(原監督)
駒大へのライバル意識は隠そうとはせず、2年ぶりの王座奪還に向けて、目をギラギラさせる。
一方、“2強”に割って入るだけの力を持った大学も多い。出雲駅伝で初制覇を果たし、全日本大学駅伝でも5位となった東京国際大学は台風の目になりそうだ。2大会連続で区間新記録を出しているイェゴン・ヴィンセント(3年)の強さは異次元。全日本大学駅伝でも圧巻の5人抜きで一気に先頭に出た。
大砲を生かす日本人エースの存在も光る。丹所健(3年)は出雲駅伝3区で区間2位となり、全日本大学駅伝6区では区間新記録で区間賞を獲得。もはや留学生頼みのチームではない。すでにダークホースの域は超え、目標は3位以内。大志田秀次監督は「花の2区」で大きな貯金をつくる算段を立て、表彰台を狙う。