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「ほんとうにすてき」ジャンプに苦しむ本田真凜がスケートを続ける理由を取り戻した、努力の人・浅田真央の心からの言葉

posted2021/11/07 11:03

 
「ほんとうにすてき」ジャンプに苦しむ本田真凜がスケートを続ける理由を取り戻した、努力の人・浅田真央の心からの言葉<Number Web> photograph by AFLO

東日本選手権でフリーの演技をやり遂げた本田。フリーは101.65点で5位。総合でも5位となり全日本選手権への切符を手に入れた

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 フィギュアスケートのグランプリシリーズが進む一方で、国内でも大会がはじまっている。各地域での選手権に始まり、そこで成績が上位だった選手が東西それぞれの大会に進み、結果を残した選手が12月の全日本選手権に出場できる。

 10月28日から31日にかけて、東京のダイドードリンコアイスアリーナで東日本選手権が開催され、本田真凜が5位で全日本選手権出場を決めた。進出できるのは5位まで。進めるか進めないかの瀬戸際で切符を手に入れた。

 ショートプログラムでは8位と出遅れた。迎えたフリーは2018-2019シーズンでも使用した『LOVERS』。

 最初のジャンプ、トリプルループ−ダブルトウループは成功。その後はトリプルサルコウで転倒し、回転不足になるジャンプなどもあったが、フリーは101.65点で5位。ショートとの合計は152.02点であった。

「ひとことで言うと、ほっとしています。全日本出場の枠取りの怖さ、難しさをあらためて感じました」

 試合を終えてそう語ったが、前ルールでの自己ベストは201.61点、現ルールでのそれは188.61点。12位の成績だった東京選手権、そして東日本選手権と、得点面でも上がらない要因は、少なくない課題の中でも特にジャンプの精度にある。

心に抱え込んだスケートに対する葛藤

 今大会もフリーに限らず、ショートでも3つのジャンプすべてが回転不足などによりGOE(できばえ点)はマイナスの評価。また、昨年のNHK杯もそうだったが、3回転−3回転の連続ジャンプを入れられずにいる。昨シーズンは右肩脱臼でジャパンオープンを欠場し、年末の全日本選手権もめまいから棄権をよぎなくされた。その後、ジャンプを跳ばない期間も続いた。

 2018年にアメリカに拠点を移した本田は、本田武史コーチからもジャンプを教えてもらうようになり、昨年のNHK杯の後には数々の選手を育てた佐藤信夫・久美子コーチにも見てもらうようになった。今シーズンも、佐藤夫妻のいる新横浜を拠点に、地元である京都に帰ったときは本田コーチに教わる体制をとっている。ただ、容易に状態は上向かない。

 当然、気持ちにも影響する。

「ここ何年か、自分のスケートに対しての気持ちなどで葛藤する部分は多かったです」

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