第98回箱根駅伝(2022)BACK NUMBER

1位・明治大学、初出場・駿河台大学は本大会で戦えるか? 〈箱根駅伝予選会〉から第98回大会を占う。

posted2021/11/11 11:30

 
1位・明治大学、初出場・駿河台大学は本大会で戦えるか? 〈箱根駅伝予選会〉から第98回大会を占う。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

明大は主将・鈴木聖人がチームを引っ張る。過去2大会で5区を走った

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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Yuki Suenaga

「1位、明治大学、記録10時間33分22秒」

 第98回箱根駅伝予選会のレースが終了し、20分ほどが過ぎた頃、主催者の本松貫太幹事長によるアナウンスで本大会出場を決めた10校の大学名が次々と発表されていった。選手たちの待機スペースからそのつど歓声が聞こえてくるが、ひときわ甲高い喜びの声が上がったのは8番目の通過校が読み上げられたときだった。

「8位、駿河台大学、記録10時間44分47秒」

 徳本一善監督の就任10年目にして初の本大会出場が決定。歓喜に涙する選手もいる中、徳本監督はスマホのカメラを学生たちに向けながら、うっすらと笑みを浮かべていた。

「このコたちのこの表情が見たかったので。やっと報われた思いです」

 監督就任の依頼は3度断った。「週3回のパチンコ通いを週1度にしてくれないか」と頼むことから始めたチーム作りは、監督の熱意と選手の情熱が合わさって今回のシンデレラストーリーにつながった。「高校の先生方に少しずつ教わりながらやってきて、この10年で僕もすごく成長させてもらったと思います」と徳本監督は笑顔で語る。

初出場校は、どれだけ力を発揮できるのか

 だが、予選会突破後に待ち受ける本大会の話になると、口調がやや硬くなった。

「今はまだ実感がなくて、雲の上にいるような気持ちなんですけど……」

 そして、吹っ切ったようにこう言う。

「現役時代、僕はつねにどうやったら面白くなるんだろうと思ってスタートラインに立ってきた。そこはブレずに、学生たちにも駿河台って何かやってくれそうだよねって、そんな雰囲気を出してスタートラインに立ってほしいなと思います」

 予選会の話題をさらった初出場校が、本大会でどれだけ力を発揮することができるのか。ここでは過去のデータを読み解きながら、その期待値を探ってみたい。

 この20年を振り返ると、箱根駅伝初出場を決めた大学は駿河台大以外に4校ある。第80回(2004年)の城西大学、第85回(2009年)の上武大学、第91回(2015年)の創価大学、そして第92回(2016年)の東京国際大学だ。

 前回大会で準優勝を果たした創価大、そして2年連続でシード権を獲得中の東国大の躍進は記憶に新しいが、初出場時の成績を調べてみると、いずれの大学も苦しんできたのがよくわかる。

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