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「監督を辞めた今も」2017年、わずかな差でホークスに敗れ、ラミレスの胸に残ったもの。【SMBC日本シリーズ】

posted2021/11/11 11:01

 
「監督を辞めた今も」2017年、わずかな差でホークスに敗れ、ラミレスの胸に残ったもの。【SMBC日本シリーズ】<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

アレックス・ラミレスは現在、横浜市内でスポーツジムを経営している

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鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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Hideki Sugiyama

 2017年11月4日、SMBC日本シリーズ第6戦は両チームにとって大きな意味を持つ試合となった。

 3勝2敗。パ・リーグ王者の福岡ソフトバンクホークスは日本一へ王手をかけていたものの第4、5戦を連敗していた。このゲームを落とせば、流れは完全に相手に渡ってしまう。

 一方で、セ・リーグ3位から這い上がってきた挑戦者の横浜DeNAベイスターズは0勝3敗の崖っぷちから巻き返してきた。第7戦まで持ち込むことができれば、精神的には圧倒的優位に立てる状況だった。

 午後3時過ぎ、ベイスターズが福岡ヤフオクドームに到着した。そこからいつも通りの試合前の準備が始まった。三塁側ベンチ裏のロッカーには白板が用意されており、そこにこの日のオーダーが書かれ、ゲームに出る者から順番にバッティング練習をスタートする。

指名打者「?」には誰が!?

 だがこの日、監督であるアレックス・ラミレスは指名打者の欄だけを空けていた。そこには「?」と書かれているだけだった。

「誰が出るんだ?」

 まずコーチたちから声が上がった。

 選手たちもいつもと異なる様子に気づき始めた。

 彼らの様子を横目に見ながら、ラミレスはひとりの選手に視線を注いでいた。

 白崎浩之、27歳。5年目の内野手だった。ドラフト1位で入団したが、このシーズンはスタメン出場10試合のみ、ホームランはなく、打率も1割台だった。ラミレスはそんな選手に、ある確信を抱いていた。

「白崎は確かにレギュラーシーズンではほとんど出場していない選手でしたが、福岡に移動してからの練習を見ていて、明らかに今までと違っていた。自信というか、俺は絶対に日本シリーズに出る、やってやる、というものが見えたのです」

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