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サッカー中山雄太の万能プレーを支えるアシックスの技術。想像を超える「武器」

posted2021/07/22 11:00

 
サッカー中山雄太の万能プレーを支えるアシックスの技術。想像を超える「武器」<Number Web> photograph by AFLO / Hirofumi Kamaya

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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AFLO / Hirofumi Kamaya

 思わず、心の中で快哉を叫んだ。

 谷岡慎介さん(選手担当)が振り返るのは、出来上がったばかりのサッカースパイク「DS LIGHT X-FLY 4」を、U-24日本代表の中山雄太に初めて手渡したときのことだ。

「すごく反応がわかりやすい選手で、良いか悪いかの判断がすぐ表情に出るんです。このスパイクを初めて履いてもらったときは、こちらが思った以上の良い表情をしてくれました。『想像を超えてきましたね』とも言っていただけて、嬉しかったです」

中山選手が履く「DS LIGHT X-FLY4」。足とシューズが一体になった素足感覚を実現しつつ、耐久性も保てている中山選手が履く「DS LIGHT X-FLY4」。足とシューズが一体になった素足感覚を実現しつつ、耐久性も保てている

 サッカー選手にとってスパイクは、試合で身につけることを許された唯一の武器だ。当然ながら、それを判断する基準は厳しい。先々代のモデル「DS LIGHT X-FLY 2」から「DS LIGHT X-FLY 3」とこのシリーズを履き続けてきた中山選手にリサーチを重ねて作りあげてきただけに、安堵感もひとしおだった。

「前作のDS LIGHT X-FLY 3についてもアウターソールは高く評価をいただいていて、『これ以上のものはあり得ない』と話してくれていたんです。だから、それを超えてきたという評価が嬉しくて(笑)。東京オリンピックに向けても弾みがついたと思います」

軽量性とフィット性の高さを追い求めて

 信頼の置けるギアを手にし、中山が向かうのが自国開催のオリンピックである。守備のスペシャリストである点が高く評価され、日本代表メンバー18人に名を連ねた。所属先のズウォレ(オランダ)でも重宝されているように、ボランチからサイドバックまで幅広いポジションをこなせるのが特長だ。もちろん、スパイクにもさまざまな動きへの対応が求められる。

 開発の現場では、スパイクが完成に至るまでにどのようなドラマがあったのだろう。企画担当の岩田洋さんがこう振り返る。

「腐心したのは、基本性能をどう練り上げていくかでした。サッカーは急加速、急ターン、そして急ストップを繰り返しながら90分間走り続けるスポーツです。その足元を支えるスパイクはやはり、動作分析に基づき足の動きを正しくサポートできるものでなければなりません。足の指の付け根のところでしっかりスパイクが曲がるとか、踵部分を包み込むようにホールドすることで安定性を保つとか、DS LIGHT X-FLY 4は軽量性とフィット性の高さが売りなので、そこを愚直に追い求めていきました」

 開発を進めていく過程で、中山選手からはこんな要望があったという。

【次ページ】 シューズに必要な8つの基本性能

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