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安藤美姫の“出産報道”、千葉すずバッシング…なぜ日本の女性アスリートはスキャンダルの対象になってきたのか?―2020-21 BEST5

posted2021/04/30 11:01

 
安藤美姫の“出産報道”、千葉すずバッシング…なぜ日本の女性アスリートはスキャンダルの対象になってきたのか?―2020-21 BEST5<Number Web> photograph by AFLO

1992年バルセロナ五輪、1996年アトランタ五輪に出場した千葉すず

text by

近藤正高

近藤正高Masataka Kondo

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AFLO

2020年から2021年(対象:12月~3月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。スポーツ総合部門の第2位は、こちら!(初公開日 2021年2月28日)。

 人見絹枝が1928年アムステルダム五輪で日本人女性初のメダリストになってから100年近く。男性とくらべると身体面のみならず社会的な境遇においても大きなハンディを抱えながら、女性アスリートたちは、どのように戦ってきたのか振り返る(全2回の2回目/#1から続く)。

「強い女性は男性から敬遠されがち」

 日紡貝塚の女子バレーボールチームで主将を務めた河西昌枝は、結婚する前に、監督の大松博文の紹介で3人と見合いをしたが、相手の「優しさ」が「頼りなさ」に見えてしまい、すべて断ったという。厳しい競技生活を通じて精神的に自立したであろう彼女は、結婚する際にも、互いに依存することのない相手を望んだのかもしれない。

 結果的に河西は良縁に恵まれたわけだが、女性アスリートの第二の人生には、いまなおさまざまな困難と制約がつきまとうのもまた事実である。それというのも、女性が精神的に自立することは、《結果として日本社会の中での「女らしさ」という社会通念的な枠組みからは、はみ出していくことになる》からだ……と説明するのは、元柔道選手で現在はJOC理事を務める山口香(1964~)である(山口香『残念なメダリスト チャンピオンに学ぶ人生勝利学・失敗学』中公新書ラクレ)。

 山口は、日本社会では強い女性は往々にして男性から敬遠されがちで、それゆえ女性アスリートが結婚や出産を望んでもなかなか相手が見つからないと指摘する。周囲が見合いを世話してくれた前畑秀子や東洋の魔女たちの時代とは違い、恋愛結婚が主流の現在ではまた事情も変わっているだろう。

安藤美姫の「相手は誰なのか」報道

 当の山口は、1988年のソウル五輪の女子柔道(当時は公開競技)52キロ以下級で銅メダルを獲得した翌年に引退したあと、JOCの在外研修制度で英国に留学し、そこで出会った男性とのあいだに子供を儲けた。だが、彼女は悩んだ末に、結婚しないで子供を産み育てる道を選んだ。《私の中では、出産と家庭を持つことはワンセットではなかったのです。長い間柔道に縛られて、今やっとそこから離れたのに、今度は家庭という枠組みに縛られる。それは私にとってすごく困難なことでした》と、山口はその真意を語っている(『婦人公論』2013年11月22日号)。

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