Sports Graphic NumberBACK NUMBER
遠藤保仁(サッカー元日本代表)×ひゅーが(東京ヴェルディeスポーツ) 「eスポーツが現実のサッカーを変える日」
posted2021/03/29 11:00

text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Ryo Sato/ Nanae Suzuki
[提供:株式会社NTTドコモ]
リアルは足でボールを扱い、eスポーツは手でコントローラーを操作する。同じ「サッカー」が舞台であっても、一見、類似性はないようにも思える。だがリアル、eスポーツどちらも楽しむ一般プレイヤーは少なくない。
ピッチでも、ゲームでも。
日本代表の国際AマッチでもJ1でも最多出場を誇るなど、実績を今さら語る必要もないジュビロ磐田の遠藤保仁はサッカーゲームにおいても実力者という評判がある。一方、近年著しい盛り上がりを見せるeスポーツにおいて全国都道府県対抗eスポーツ選手権2020(ウイニングイレブン部門)準優勝の東京ヴェルディeスポーツ所属ひゅーがは、Jリーグクラブと提携する育成組織でプレーしていた経験を持つ。
サッカーからeスポーツを、eスポーツからサッカーを。
両者による異色の初対談から、人々を熱狂させるスポーツとしてどのような相互性があるのかを探ってみたい。
――遠藤選手はかなり「ウイイレ」をやり込んでいた時期があったと聞いています。
遠藤 ピークは20代前半のころですよ。2000年のシドニーオリンピックのときは(中村)俊輔と同部屋だったんで、ずっーと対戦していました(笑)。A代表でも遠征先に必ず持っていって、誰かと対戦してって感じでしたね。
ひゅーが 遠藤さん、俊輔さんのどちらが強かったんですか?
遠藤 結構、五分五分だったような。(戦い方は)お互いにボールをつないで組み立てていきながら、みたいな感じで。僕らだけじゃなくて日本代表は、しっかりとビルドアップして、ロングボールはあまり蹴らないっていう人ばかりでしたね。
ひゅーが 分かります。僕も去年までヴェルディでプレーしていた藤本寛也選手(2020年8月よりポルトガル1部ジル・ヴィセンテに期限付き移籍)とよく対戦していたんですけど、彼も後ろからじっくりつなぐタイプです。彼、かなり強くて(笑)。実際にピッチでリアルのサッカーをする人は、つなぐタイプが多いかなっていう印象がありますね。
遠藤 ひゅーがさんはどうですか?
ひゅーが 僕もつなぐのが好きでした。リアルでやってきたサッカーの経験をeスポーツに持ち込んだところがあって、ボンボンとすぐ縦に蹴るサッカーは好きじゃなかった。だけど、eスポーツの世界は速くゴールに迫っていくのが主流なので、いつの間にかそっち側に寄っていった感じですね。
遠藤 パスでつながないのが主流なんですね。
ひゅーが そうなんです。前線に大きい選手、フィジカルの強い選手を置いて、裏に蹴って走らせてフィジカルでごり押しするっていうスタイルが多いですね。
――自分のサッカー観が反映されるところはあったんですか?
遠藤 つなぐところはそうかもしれない。でも俺、ゲームではガンガン、レッドカードもらっていましたよ。毎試合、1人は退場させていましたから(笑)。
ひゅーが ええーっ!(笑)。
遠藤 俊輔に「おいおい!」ってよく突っ込まれたりもしたけど、仲間うちでやるからそれもまた盛り上がる要素になりますからね。(笑)