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32歳になった坂本勇人が決して怠らないコンディション管理の鉄則とは~次の一歩に、たしかな自信を

posted2021/03/21 11:00

 
32歳になった坂本勇人が決して怠らないコンディション管理の鉄則とは~次の一歩に、たしかな自信を<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

練習前、試合前、試合後、帰宅後の1日4回のストレッチを欠かさないという坂本

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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Takuya Sugiyama

 坂本勇人の野球に対するモチベーションは、シンプルだ。

「いい成績を残したい。そして、周りの人に『すごいな』って思ってもらいたい。1年でも長く、実力を認められた状態でプレーし続けたい。それがいちばんですね」

 その直線的な思いを記すには、向上心という言葉では足りない気がする。向上“欲”と書いたほうがきっと、よりふさわしい。

 昨シーズンには史上2番目の若さで通算2000本安打を達成した。賞賛の声を一身に浴びてなお、成績のさらなる積み上げと承認を求める純粋な意欲はまるで衰えていない。

 高卒でプロ入りして、今年で15年目。現役最多、あるいは歴代最多を冠した複数の記録を射程に捉える。

 レギュラーの座をつかんだのは2年目の2008年だった。4試合に出場したルーキーイヤーを除くと、昨シーズンまでの13年間で計1843試合のうち1781試合に出場した。率で表せば「.966」。グラウンドに姿を現した回数が、すべてのレコードの土台と言える。

 しかも、身体への負担が大きいとされる遊撃手として試合に出続けてきたのだ。その裏に、徹底したコンディション管理があることは容易に想像がつく。

坂本が考える「コンディショニング」

 坂本はうなずき、言う。

「コンディションを維持する難しさ、大事さというのは、年を重ねるごとに感じます。若いころはそれほどでもなかったけど、ここ何年かは意識していろんなことに取り組むようになりました。ぼくが大事にしているのは、入浴とストレッチ。特にストレッチかな。シーズン中なら練習前、試合前、試合後、帰宅後の1日4回、合わせて1時間弱くらいはやります。ほかの選手と比べても、かなり時間を使っていると思う」

 費やす時間の長さは、その重要性に対する自覚の強さを反映している。「コンディショニングとは何か?」との問いに対して、坂本はこう答えた。

「野球をするうえでいちばん大事なもの。もちろん、技術や精神的な部分も大事ですけど、体をいい状態に保っておくことはそれ以上に必要なことだと思います。打つこと、守ること、走ること。コンディションがいいときと悪いときでは全然、パフォーマンスが違ってきますから」

 とはいえ、常に思いどおりにはならないのが人間の肉体だ。万全の調整をしたのに体が重く感じることもあれば、疲労のピークにありながら安打が連なる日もある。明確な正解は存在せず、だから、ときに悩みは深くなる。

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