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なぜ19歳久保建英は「移籍発表から3日」で鮮烈デビューを飾れたのか? 注目は2人の選手との連携

posted2021/01/12 18:00

 
なぜ19歳久保建英は「移籍発表から3日」で鮮烈デビューを飾れたのか? 注目は2人の選手との連携<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

ビジャレアルからヘタフェへ移籍した久保建英が、現地時間1月11日に行なわれたラ・リーガ第18節のエルチェ戦で新天地デビューを飾った

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中西哲生+戸塚啓

中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka

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Daisuke Nakashima

 万全にはほど遠い準備のなかで、鮮明なる回答を示した。

 ビジャレアルからヘタフェへ移籍した久保建英が、現地時間1月11日に行なわれたラ・リーガ第18節のエルチェ戦で新天地デビューを飾った。

 大雪によるトレーニングのキャンセルと試合の延期など、自分ではどうしようもない要素に揺さぶられた。それでも、後半20分から途中出場して2つの得点に関わり、チームの勝利に貢献した。

 見慣れない背番号5を着けた「TAKE」のリスタートを、お馴染みの中西哲生氏に解説してもらおう。

◆◆◆

 11日のエルチェ戦へ向けた状況は、きわめてイレギュラーでした。期限付き移籍が発表されたのは8日ですから、そもそも慌ただしいスケジュールです。そのうえ、降雪の影響でトレーニングがキャンセルされてしまった。チームメイトと相互理解を深めることができないまま、久保はピッチに立つこととなったのです。

 不安や焦りにとらわれてもおかしくないはずですが、ここで彼は持ち前の環境適応能力を発揮しました。

ヘタフェで久保が求められていること

 久保の経歴を辿ると、すでに多くのチームでプレーしています。日本国内ではFC東京のU-15、U-18、U-23とトップチーム、それに横浜F・マリノスに在籍しました。年齢別の代表にはU-15日本代表から選出され、すでに日本代表に名を連ねている。

 スペインでの足跡に目を移すと、バルセロナの下部組織、レアル・マドリー、マジョルカ、ビジャレアル、そしてヘタフェと、すでに5チーム目になります。未知の環境へ飛び込むことは、国内外で何度も経験済みです。新しい監督のもとで新しいチームメイトとプレーする際のマニュアルのようなものが、彼のなかで出来上がっていると考えることができます。

 エルチェ戦へ向けた短い準備期間では、ホセ・ボルダラス監督と綿密にコミュニケーションをとったようです。トレーニングはできなかったけれど、自分が求められていることを整理してピッチに立つことができたのは、彼のパフォーマンスから読み取ることができました。

 そもそも、ヘタフェの一員となることが決まった時点で、久保は自分のタスクを認識していたはずです。中位から下位に位置するチームは、相手が引いてきた際にどうやって崩すのかを課題としています。直近ではラ・リーガで連敗しており、コパ・デル・レイを含めると3試合連続で黒星を喫していた。引き分けではなく勝点3を取るためのタレントとして、ヘタフェは久保を獲得したのでしょう。

【次ページ】 中心選手で、同じ「バルサ育成」仲間との連係

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