第97回箱根駅伝(2021)BACK NUMBER

区間エントリーから読み解く第97回箱根駅伝。出場「確定」の選手から思惑が見えてくる。

posted2020/12/31 11:00

 
区間エントリーから読み解く第97回箱根駅伝。出場「確定」の選手から思惑が見えてくる。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

前回大会総合優勝の青学大・原監督。連覇に向けて「5区で主導権を握りたい」。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Yuki Suenaga

 12月29日に第97回箱根駅伝の区間エントリーが発表されてから1月2日までの間は、「推理」を楽しむ時間である。

 補欠に入った選手が、何区を走るのか?

 それは各大学の監督も同じ。ライバル校のエースがどの区間に投入されるのかを考えつつ、戦略の最後の仕上げをする。

 特に今大会からのレギュレーションでは、メンバー変更は1日に最大4人まで、往路と復路を合わせて6人まで可能となっており、読み合いがとても興味深い。

 今回からは変更可能な人数が多いだけに「誰が代わるか?」というよりも、「誰が代わらないか?」を見ていった方が分かりやすい。その観点から、総合優勝を狙う各大学の区間エントリーを読み解いていきたい。

青学大は2区終了時点での順位に注目

●青山学院大学

 連覇を狙う青学大だが、原晋監督は「5区で主導権を握りたい」と話している。往路を制した上で、分厚い選手層で復路を逃げ切る公算だろう。青学大の往路の登録メンバーはこのようになっている。

1区 吉田圭太 (4年)
2区 中村唯翔 (2年)
3区 大澤佑介 (2年)
4区 脇田幸太朗(2年)
5区 竹石尚人 (4年)

 出場が「確定」と思われるのは、前回も1区を走った吉田、全日本大学駅伝で競争の激しかった3区で区間3位と好走を見せた中村、そして2度の山上り経験を持つ竹石だろう。

 激しい主導権争いが繰り広げられそうな3区、4区はメンバー変更の可能性が高いが、青学大は補欠にも豊富な人材を抱えている。筆頭は主将で、前回9区区間賞の神林勇太(4年)。全日本大学駅伝の7区では留学生を抑えて区間賞を獲得しており、好調を維持している。

 そして全日本大学駅伝の5区で区間新記録をマークした1年生の佐藤一世は原監督が重視する「駅伝力」に秀でており、往路を任せられる人材だ。佐藤自身は「自分の特性を生かせるのは細かいアップダウンがある4区かな、と思います」と話しており、「吉田→中村→神林→佐藤→竹石」のたすきリレーは、往路優勝を十分に狙える並びだ。

 近年は3区、4区で浮上を図るのが原監督の戦略となっており、注目しておきたいポイントは、2区終了時点での順位、トップとのタイム差だ。

 往路で好位置につければ、復路には前回も8区を走った岩見秀哉(4年)、補欠に飯田貴之(3年)、前回のアンカー・湯原慶吾(3年)らの経験者が控えている。

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