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申ジエ&タチアナ・カルデロン。異なる競技のトップ女性アスリートが引き起こした意外な「化学反応」とは。
posted2021/01/12 11:00

text by

生島淳Jun Ikushima
photograph by
Nobuyuki Okisada
「私のヒーローだった」という、F1でも活躍したファン・パブロ・モントーヤと同じ南米・コロンビア出身で、2020年は女性として初めてスーパーフォーミュラに参戦し、出場した全レースで完走を果たしたレーシングドライバーのタチアナ・カルデロン。
そんな彼女たちをサポートするのは、ケミカル商品を開発製造する株式会社スリーボンドだ。世界中のスポーツ界を大きな困難が襲った2020年の暮れ、彼女たちの初対面が実現。自身のキャリアのこと、ステイホーム期間中のこと、そして“コロナ後”のこと……。都内スリーボンド本社で行われた彼女たちへのインタビューでの肉声は、すでに2021年以降を見据えたものだった。
――2020年のおふたりは日本を舞台に活躍されました。カルデロンさんはスーパーフォーミュラのドライバーとして、申ジエさんはJLPGAツアーでプレーされています。今日は意外にも初対面ということで、ご自身のこれまでのキャリアで最高の瞬間を教えてください。
カルデロン 2018年の10月に、テストドライバーとして、子どものころから夢見ていたF1マシンに乗って、メキシコのサーキットで走ることが出来たのは、夢がかなった瞬間でしたね。
――ラテンアメリカ出身の女性としては、初めてのF1ドライバーだったんですよね。
カルデロン そうなんです。そして2020年は、スーパーフォーミュラで初めての女性ドライバーとして参戦することが出来ました。
申ジエ タチアナさんは、女性ドライバーの開拓者なんですね。
カルデロン ありがとうございます!
――申ジエさんにとって、最高の瞬間はいつのことでしょう。
申ジエ プロゴルファーになって、たくさんの経験をしてきましたので、ひとつ選ぶとなると難しいですが……私は“いま”だと思っています。いまが充実していれば、未来につながっていきますから。
――とはいっても、申ジエさんは2008年と2012年の全英女子オープンで、メジャートーナメントで2度も優勝しています。
申ジエ そうでしたね。あの優勝の瞬間は素晴らしかったです。2008年はスコットランド、2012年はイングランドのコースで勝てたというのも本当にいい思い出です。歴史ある大会のトロフィーに、自分の名が刻まれたのは光栄でした。たいへん名誉なことだと思っています。
――2020年は世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、ステイホームを余儀なくされました。アスリートにとっては、大きな影響が出たのではないでしょうか。
カルデロン 私はスペインのマドリッドに住んでいるのですが、3カ月間、自粛生活を強いられました。その間はスポーツジムに通うことも出来ませんでしたし、家の中でトレーニングしなければなりませんでした。