第97回箱根駅伝(2021)BACK NUMBER
関東学連・有吉正博会長に問う。箱根駅伝を無事に開催するために必要なことは?
posted2020/12/08 11:00

2016年に就任した有吉正博会長。箱根駅伝のスターターとしてもお馴染みだ。
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箱根駅伝2021取材チームhakone ekiden 2021
photograph by
Hideki Sugiyama
――11月5日、関東学生陸上競技連盟(以下、関東学連)が箱根駅伝の開催を正式発表しました。この発表に至るまでにどのような議論がなされたのか、経緯を教えてください。
関東学連は約100年続いている組織ですが、伝統的に学生中心で運営されています。なので、まずは山田幸輝幹事長(神奈川大学4年)ら学生幹事の意向を聞いた上で、開催に向けて進むことになりました。
新型コロナウイルスについては対策委員会を設置し、専門家の意見も取り入れながら評議員会で議論を重ねました。また、ご協力いただく警視庁、神奈川県警、沿道や中継所の地域の方々のご意向も踏まえた上で、開催発表に至りました。そのあたりは学生の力になれるようわれわれOBが手助けしましたが、学生も例年とあまりに異なるので、オンライン会議のセッティングなど大変だったと思いますが、本当によく頑張っています。
今後も社会情勢を見ながら中止も含めて判断していくことになりますが、本連盟としては基本的に開催できるよう万全の準備をしています。
――10月17日に行われた箱根駅伝予選会は、陸上自衛隊立川駐屯地内での周回コースという異例の形式で行われました。有吉会長はスターターを務められて、どのような思いでレースをご覧になっていましたか。
例年であれば、早朝から昭和記念公園に多くの人が集まって盛り上がりを見せますが、今年はその光景もありませんでした。一方で、特段の問題も起きませんでしたから、静かに終えることができたという安心感はありました。
――レースの方は、静かどころかスリリングな展開でした。三浦龍司選手(順天堂大学1年)がハーフマラソンのU-20日本記録を更新する1時間1分41秒で日本人トップの走りを見せ、10枠の出場権争いも熾烈を極めました。
すごいタイムでビックリしました。しかも、チームによっては半分以上の選手が自己ベストを記録したところもあります。大接戦で、8位の法政大学から12位の中央学院大学までわずか65秒差ですから。これは考えられないレベルの高さでしたね。
コロナに見舞われてから合宿もできず、グラウンドを満足に使えない大学もあったなかで、これだけ各選手が高い競技力を発揮しているのは素晴らしいことだと思います。レースも少なくなってしまったことで、ひとつの大会により集中して調整した結果でしょう。全日本大学駅伝も史上稀に見る接戦でしたし、箱根駅伝も白熱するのではないでしょうか。