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今こそ、スポーツを支える仕事に迫る<後編>FC琉球/水戸ホーリーホック

posted2020/09/17 11:01

 
今こそ、スポーツを支える仕事に迫る<後編>FC琉球/水戸ホーリーホック<Number Web> photograph by FC RYUKYU/MITOHOLLYHOCK

FC琉球取締役営業本部長の荻原直樹氏(左)と水戸ホーリーホック代表取締役社長の小島耕氏。

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熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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FC RYUKYU/MITOHOLLYHOCK

新型コロナウイルスの感染拡大により大打撃を受けたスポーツ界は、新たなスタイルを模索しながら、少しずつ歩を前に進めている。

本記事ではそのなかでも、スポーツ庁が実施する「スポーツ経営人材育成・活用推進事業」に手を挙げ、未曽有の事態においても新たな人材を取り入れ成長しようとする4団体を紹介。後編ではFC琉球と水戸ホーリーホックに話を聞いた(前編はこちら)。

沖縄から日本、そしてアジアへ――。
FC琉球が目指す、唯一無二のクラブ像。

FC琉球が募集するのは、マーケティング業務の立案から企画・実行までを担うプレイングマネージャー。新たな人材と共に、FC琉球をさらに地元に愛されるチームへと変え、県内そして日本に留まらない大きな目標に挑む。

 Jリーグ56クラブ中、唯一の離島クラブとして個性を放つFC琉球。2003年に産声を上げて以来、着実にステップアップを遂げてきた。

 '14年にJ3参入を果たすと5年目に優勝し、昨季J2に昇格。ホームゲームに滅法強く、'18年から'19年にかけてJリーグ記録となる30試合ホーム連続不敗記録を樹立した。

 営業本部長の荻原直樹氏が、クラブが秘めるポテンシャルを語る。

「離島でのクラブ経営は、さまざまな面で不利だと思われるかもしれません。しかし、私たちは大きなメリットがあると捉えています。というのも日本では端になる沖縄は、東アジアで見れば中心に位置するからです」

 視点を変えるだけで、不利は一転有利となる。

 東京からは遠くても、琉球は経済成長著しい中国や東南アジアにもっとも近いクラブ。沖縄からLCCで4時間以内で行ける範囲には、上海、香港、バンコクといった大都市があり、実に20億もの人々が暮らしている。

「沖縄県が観光や流通においてアジアを重視しているように、私たちもアジアを重視したクラブ戦略を描いています。昨年は、台湾サッカー協会と包括的パートナーシップ協定を結びました」

 コンサドーレ札幌でのチャナティップの活躍が起爆剤となり、北海道にタイからの観光客が数多く訪れるようになったが、同じことが沖縄でも起こる可能性は十分ある。

新スタジアムが完成すればさらに魅力的な旅先に

 そんな琉球には、飛躍への心強い材料がある。

 近い将来、2万人規模のサッカー専用スタジアムが完成する計画があるのだ。

「建設計画地は那覇市奥武山公園。那覇空港から車で5分、市内中心地からも徒歩圏で、スタジアムとしては全国でもまれな好立地です」

 新スタジアムが完成すれば、県内での盛り上がりはもちろん、サッカーファンにとって沖縄はより魅力的な旅先になるだろう。クラブの認知度も一気に高まるはずだ。

 計り知れない潜在能力を生かそうと、琉球はいま、急ピッチで体制の強化を進めている。

「トップチームは順調にステップアップしてきましたが、それを支える会社がそのスピードに追いついていないところがありました。正直、ファンサポーターやスポンサーの拡大や普及など、できていないことが少なくない。沖縄という際立った文化や自然環境の特性を生かせば、Jリーグでもこれまでないような、地域に根差し、全国、そして世界を巻き込んだ盛り上がりを作ることができるはず。今回募集する新しいスタッフの方には、ホームタウン活動やイベント、スタジアム集客において新しい企画をどんどん打ち出して実行してほしいと考えています。発展途上の若く小さなクラブなので、働けば働いただけ目に見える成果が出る。この点、非常にやりがいがあります。トライ&エラーに寛容なところも、このクラブのいいところだと思います」

【次ページ】 沖縄のサッカー界が抱える長年の課題

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