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独自のシューズ開発を極めるミズノ。
新モデル登場でランはどう変わるか。 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byIchisei Hiramatsu

posted2020/08/31 17:00

独自のシューズ開発を極めるミズノ。新モデル登場でランはどう変わるか。<Number Web> photograph by Ichisei Hiramatsu

9月に発売する『WAVE RIDER 24』(右)と『WAVE RIDER NEO』。ミズノの技術を集結させたシューズを、幅広いレベルのランナーが体感できるようになる。

柔らかさを維持しつつ、安定性を上げる。

 そのためにミズノが導き出した答えが新素材のミズノエナジーであり、登場以来、根強い支持を得ている構造ミズノウエーブだった。

 新たなミッドソール素材のミズノエナジーは、反発性に優れたコア、軽さを追求したライト、汎用性の高いノーマルタイプの3つがラインアップされている。

 ノーマルでも、従来の素材よりも反発性で約15%、柔らかさで約17%アップしているのだが、柔らかさと反発性だけを追求することにミズノは懐疑的だ。

「柔らかければ柔らかいほど、反発があればあるほどいいのでしょうか? 例えばクッション性が高ければ衝撃は弱くなりますが、一方でぐらついたり、それを抑えるために変な場所に力がかかったりと、リスクも高まります。クッション性と走りの快適性は、別の問題だと思っているんです。やわらかさを維持しつつ、安定性を上げるには構造が大切で、そこにミズノは絶対的な強みがあると考えています」

 その構造がミズノウエーブなのだ。

カーボンプレートにNOを突きつけた理由。

 実はミズノはカーボンのサプライヤーとしての一面を持っていて、カーボンについては熟知している。それでも、ミズノがカーボンプレートにNOを突きつけたのには理由がある。

「カーボンが高い反発性を持っていることはもちろん理解しています。ただ、反発を受けられるポイントを強く蹴れたときは、高い反発を得られるけれど、反発のレスポンスが早すぎる。うまく推進力に切り替えられないと、前に押し出されるように感じたり、バランスを崩したりしやすいんです。うまく履きこなせた時のメリットは大きいけれど、扱えなかった時のデメリットも大きい」

 マラソンでゴールまで同じフォームで走れる人はほんのひと握りだろう。痛みが出れば、走り方を変えて、体を騙し騙し、ゴールへと進むことがほとんどではないだろうか。

「ピンポイントで接地して反発性が高い靴は作れます。でもそれはランナーにとって現実的じゃないのではと、我々は疑問視したんです。このポイントなら反発性が高いです、という突き抜けた靴を作るより、スタートからゴールまで気持ちよく走ってもらって、結果としてタイムが出る靴というのがミズノの理想です。その点、ミズノウエーブなら衝撃吸収やクッション性を損なうことなく安定性を実現できる」

 例えば、ミズノエナジーを採用したシューズの中で、コンセプトモデルである『THE MIZUNO ENERZY』はミズノウエーブを搭載していない。

「低反発マットの上を走っているような高い反発性はありますが、安定性がないので、自分でバランスを取る必要がある。素材の良さを感じてもらえるモデルとして限定発売しましたが、パフォーマンスランニングの部分では、安定性を犠牲にしている靴と言えます」

【次ページ】 初心者から中級者まで、快適な走り心地を。

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