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羽根田卓也とCHANEL J12、
響き合うフィロソフィー。

posted2020/03/26 00:00

 
羽根田卓也とCHANEL J12、響き合うフィロソフィー。<Number Web> photograph by Tomohiko Tagawa(D-CORD)

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

PROFILE

photograph by

Tomohiko Tagawa(D-CORD)

 2016年、日本のカヌー界に新たな歴史を刻んだ。カヌー・スラローム男子カナディアンシングルで、アジア勢初となる銅メダルを獲得した羽根田卓也だ。

 愛知県に生まれ、高校卒業後の06年春、単身でカヌー強国のスロバキアに渡った。

 なぜ? 答えはシンプルだ。カヌーで世界に勝ちたいという、強い意志があったからである。それから14年。今では人生の半分近くの時間を拠点のスロバキアで過ごしながら鍛錬を続けている。

共通する挑戦と自己成長の精神。

「行った当初は、若くて、血気盛んで、未熟で、怖いもの知らずで。今は、スロバキアで世界と戦いながら厳しさも味わってきたので、すごく成長できていると思います」

 だからこそつかめたのが4年前の銅メダルだ。18歳で欧州に渡り、10年の時間をかけて力を蓄え、「世界一」への足がかりをつかんだ羽根田には、昨年からシャネルを代表する腕時計「J12」のアンバサダーという肩書きが加わっている。ぶれないチャレンジ精神で自己を高めようとするマインドが、両者の共通点のひとつである。

 最初にオファーを受けたときの感想を聞くと、「すごくありがたく、光栄。本当に、頑張ってきてよかったな、と思いました」という率直な答えが返ってきた。そのうえで、羽根田はこのように言う。

「自分が情熱を費やしてきたことに、いろいろな方々が思いを重ねてくださり、評価してもらえる。選手冥利に尽きます」

 心底うれしそうに微笑んでいる。

 シャネル「J12」は昨年、誕生から20年目にして初のリニューアルを行った。新たなモデルをつけてみての印象はどうか。今度は、手首をじっくりと眺めながら言葉を選ぶ。

「一見すると、さほど変化はないように見えるのですが、よく見ると違う。それが憎らしいというか、いじらしいというか(笑)。シャネルという伝統あるブランドには、やはり信念や理念があります。それがこの『J12』という時計に表れていると思います」

 自身と重なって見える部分はあるのだろうか。

「カヌーという競技への僕の取り組みには、打算はありません。競技に対する美学や生き様を大切に、日頃から取り組んでいます。アンバサダーのお話をいただいてから、パリにあるシャネルのアパルトマンなどにも行かせて頂いたのですが、そこで知った信念や理念から刺激を受けるところがありました。『J12』には、自分と重ね合わせられるところもあると思っています」

【次ページ】 「自分には時が味方してくれた」

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