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<特別インタビュー vol.2>
松井裕樹「“気持ちのクールダウン”が生んだ飛躍」

posted2020/03/24 11:00

 
<特別インタビュー vol.2>松井裕樹「“気持ちのクールダウン”が生んだ飛躍」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

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別府響(文藝春秋)

別府響(文藝春秋)Hibiki Beppu

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Hideki Sugiyama

長いシーズンを戦うプロ野球では、連戦に向けた準備が特に大切だ。
パ・リーグのセーブ王が語る、心身のクールダウンの重要性とは。

 プロ野球のクローザーという役割は、実に割に合わない仕事だ。

 マウンドに上がるのは常に僅差でリードしている最終回。そんな重圧の中で、チームの勝利を決定付けなければいけない。周囲からは抑えて当然と思われ、仮に打ち込まれようものなら猛烈な批判を浴びることになる。

 そしてそんなプレッシャーを感じながら、長い、長いシーズンを戦い続けなければならないのだ。

 そんな厳しい役目だが、だからこそ重要な一戦で最後にマウンドに立つ姿は人一倍、輝かしいものでもあるのだろう。

「やっぱり高卒でプロに入ってくると、最初は気持ちの切り替えが難しかったですね。高校時代は先発完投が当たり前で、負けたら終わりの一発勝負。だから、負けると引きずってしまうということも当たり前にあったんです。でも、プロではそういうわけにはいかないですから」

 東北楽天ゴールデンイーグルスの松井裕樹は、そうプロ入り当初を振り返る。

失敗しても次に向けて100%の準備を。

 松井は2014年に桐光学園高校からドラフト1位でプロ入りすると、翌2015年にクローザーに抜擢された。そこからは3年連続で30セーブ以上を記録するなど、守護神として活躍を続けて来た。

 特に昨シーズンはチームトップの68試合に登板し、自身のキャリアハイとなる38セーブをマーク。最多セーブ投手のタイトルも獲得した。救援投手として、これまでとはさらに一段階高いレベルにたどり着いたように見える。

 躍進の裏にあったのは“気持ちのクールダウン”とでも言うべき切り替えの妙だ。

「昨季は気持ちの面で切り替えが上手く出来たと思っていて。例えば他のピッチャーが救援に失敗した時って、『次、また頑張ろうぜ』って声をかけるじゃないですか。そこに他意はないし、純粋に『この人が打たれたらしょうがない』という気持ちで声をかけている。

 でも、仮に自分が失敗して同じ言葉をかけてもらった時には、『あー、やってしまった』という思いが先に来てしまっていたんです。ようやく去年、『自分もそういう気持ちで声をかけているんだから、周りの人も自分に対してそう思ってくれているんだろうな』と素直に思えるようになったんです。じゃあ、もう気にしていてもその失点がなくなるわけじゃないし、『次に向かって100%の準備をしなければ、周りにも失礼だな』と考えられるようになりました」

【次ページ】 長くリリーフを続けていると……。

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