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6年ぶりにJに帰ってきた秋葉忠宏。
育成年代の達人に水戸はどう見える?

posted2020/03/03 19:30

 
6年ぶりにJに帰ってきた秋葉忠宏。育成年代の達人に水戸はどう見える?<Number Web> photograph by J.LEAGUE

クラブと代表チームでは必要な能力も違うのだろうが、秋葉忠宏は早くもクラブの現場に適応しているように見える。

text by

戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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J.LEAGUE

 躍動感に溢れたサッカーが、J2リーグで胎動している。

 秋葉忠宏監督が就任した水戸ホーリーホックだ。

 シーズン開幕前の評価は、どちらかと言えば厳しいものだっただろう。昨シーズンは長谷部茂利監督のもとで史上最高位の7位に食い込んだが、その結果として指揮官はアビスパ福岡に招かれ、主力選手の多くがJ1やJ2のチームへ引き抜かれた。水戸がJ1昇格争いに食い込むとの声は、かなり小さなものだったと言っていい。

 2月23日に行われた大宮アルディージャとの開幕節は、1-2で敗れた。相手はJ2屈指の保有戦力を誇り、高木琢也監督のもとで2年目を迎えている。順当な結果との受け止めが多かったかもしれないが、試合の主導権を握ったのは水戸なのである。

 前半のうちに4バックから3バックへシステムを変更しながら、迫力のある攻撃で大宮の守備陣を脅かした。カウンターはスピード満点で、サイドからのクロスには複数の選手がゴール前へ飛び込む。選手たちの瑞々しいアグレッシブさが、寒風吹きすさぶスタンドに熱をもたらした。

J1湘南との練習試合は合わせて3-1。

 Jリーグは新型コロナウイルスの感染予防と拡散防止のために、2月最終週から3月15日までのリーグ戦延期を決定する。本来なら第2節が組まれていた2月の最終週に、水戸はJ1の湘南ベルマーレと練習試合を戦った。

 45分×3本のゲームで、水戸は湘南から3つのゴールを奪った。失点は1に止めた。

 どちらのチームもベストメンバーで臨んだわけではない。だからこそ、水戸の生き生きとしたプレーは目を引いた。大宮との開幕節に先発した選手だけでなく、ピッチに立った選手がもれなくアグレッシブさを発揮していたのである。湘南が持ち味とする走力と連動性で互角以上に渡り合い、球際の激しさでも譲らなかった。

「中断期間の間に戦術の幅を広げると選手たちに話していて、そのとおりに積極的にトライしてくれました。今日は6人ぐらい選手を(水戸に)置いてきていて、バスで長い距離を移動しながら、これだけやってくれる。これだけ走れている。色々と見えたところもありましたし、面白かったですね」

【次ページ】 疲労感が募る時間帯の集中力。

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