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百田夏菜子(ももクロ)×鈴木亜由子(マラソン)
「アイドルとアスリートに通じるもの」 

text by

別府響(文藝春秋)

別府響(文藝春秋)Hibiki Beppu

PROFILE

photograph byHirofumi Kamaya

posted2020/03/10 20:00

百田夏菜子(ももクロ)×鈴木亜由子(マラソン)「アイドルとアスリートに通じるもの」<Number Web> photograph by Hirofumi Kamaya

間違えたら仕方ない、練習がすべて。

鈴木 そういうコンサートの前って、やっぱり緊張しますよね?

百田 めっっちゃします!! 吐きそうになるくらい。何回やっても緊張って、戦っていかないといけないものなのかなと思います。ライブでもそうですし、テレビ番組とかでもそうなんですけど……。鈴木選手も走る前って緊張しますか?

鈴木 しますね。もう「早く(レースが終わって)明日になったらいいのに」とか思います(笑)。でも、そういう部分はありますけど、スタートしたらもう、集中もしますし不思議と緊張も無くなります。

百田 待っているときが一番、ドキドキしちゃいますよね。わたしの場合は、メイクをして衣装を着て、ステージ裏にいるとき。オープニング映像が流れて、お客さんの声だけが聞こえて、姿は見えていない時が一番、ドキドキするんです。逆にもう早くお客さんの顔を見たくなる。

鈴木 その辺は同じですよね。歌いだしたらあとはもうやるしかないし、私も号砲が鳴ったらもう緊張とかは忘れて、自分の走りに集中するだけというか。ちなみにあれだけの数の曲を覚えて、大勢の前で歌って踊って……不安とかはないんですか?

百田 歌詞の間違えとかの不安はやっぱりあります。でも、その不安がなるべくなくなるくらい、自分の中で練習を積めたらいいなという気持ちがあって。本番直前は「やることはやったんだから、間違えたら間違えたで仕方ない!」という風に思う努力はしています。

鈴木 その辺は競技も似ていますね。わたしもレース前、「やることはやってきたし、練習がすべてだからもう結果は決まっている。あとは自分のベストをつくすだけだ」と思うようにしています。

大事なのは、引きずらないこと。

百田 鈴木選手はどうしようもなく落ち込む時とかはどうしていますか? アスリートの方って、練習とかで心が折れる瞬間って絶対あると思うんです。例えば五輪だったら五輪の一瞬のために、費やす時間がものすごく長いじゃないですか。人が想像もできないくらいの努力をして一瞬に懸けるというのは、すごく残酷だなとも思うし、だからこそ、その一瞬に懸ける想いや輝きみたいなものが、わたしたちがスポーツに惹かれる部分でもあるなと思うんですけど、客観的に見たら苦しい時間の方がやっぱり多いだろうなと思って。ちょっと先が見えなくなってしまった瞬間とかはどうするのかなと。

鈴木 百田さんの言うように、競技の時間って一瞬なんですよね。ずっと競技人生が続くわけでもないし。だからこそ「いま」を大事にできるし、辛い練習にも向かっていけるというのはあります。大事なのは割り切るというか、引きずらないことですね。何でもプラスに考えるようにしています。こじつけでもなんでもいいから「この苦しさは自分を成長させてくれているんだ」とか、とにかくポジティブになります(笑)。

 例えばケガをしてしまったけど、いまケガをしたことで知識が増えて良かったなとか、人間的に成長したなとか、最後は「良かった」にこじつけます。ケガで休んだおかげで疲労が抜けて結果が良くなることもあるし、何が良いかわからない。だったらもう前向きにやるしかないので、何でもプラスに捉えるようにしています。

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