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巨人を優勝に導いた主将・坂本勇人。
圧倒的成績を生んだ「イチロー流」。

posted2019/09/22 11:50

 
巨人を優勝に導いた主将・坂本勇人。圧倒的成績を生んだ「イチロー流」。<Number Web> photograph by KYODO

5年ぶり37度目のセ・リーグ優勝を決め、大喜びでマウンドへ駆け寄る坂本勇人(中央)ら巨人ナイン。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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KYODO

 5年ぶりの歓喜のシャワーはキャプテンの言葉で始まった。

「これからクライマックスシリーズ、日本シリーズもありますが、日本一に向けて今日は酒を浴びて、浴びて……まだよ、まだよ……酒を浴びて、浴びて、浴びるぞ〜!」

 坂本勇人内野手の掛け声で巨人ナインの5年ぶりの饗宴の幕が切って落とされる。

 原辰徳監督の頭にビールの雨が注がれる。

 何度もこの祝宴を経験している阿部慎之助捕手や亀井善行外野手らは手慣れたものだが、多くの選手たちにとっては、勝つこと、優勝することが初めてで、この祝勝会も初めての体験だった。

 常勝を義務付けられたジャイアンツにとっては、あまりに長い4年間の空白だったが、その空白を誰よりも長く感じ、そして誰よりも勝つことを渇望していたのは、チームを主将として引っ張ってきた坂本であることは間違いない。

フライボール理論で長打を増やす。

「今まで何度も優勝させてもらったことがありますけど、主将になって立場も変わって、優勝する瞬間は本当に格別の思いで、自分が思った以上に嬉しかった」

 開幕から36試合連続出塁のセ・リーグ記録でスタートしたシーズン。自己最多の39本塁打を放って、リーグトップの170安打、打点も自己最多の93まで伸ばした。最後の最後で足の張りから9月18日の中日戦は代打での出場だったが、それでも優勝までの138試合中、137試合に先発してチームを引っ張ってきた。

「ずっと遠くに飛ばすことにこだわって、そういうバッティングに取り組んできた。その結果がここにきて出てきているんだと思います」

 いわゆるフライボール理論で長打を増やすことで安打の確率も高め、パフォーマンスの向上を目指した。そのためにここ数年は、練習から投手の投球に対してバットを入れる角度をアッパー気味につける軌道の修正を行ってきていた。

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坂本勇人
原辰徳
読売ジャイアンツ

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