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いい顔に迫る資生堂クロストーク「ONE ON ONE」
重本沙絵(パラ陸上選手) × 吉岡里帆(女優)

posted2019/10/10 11:00

 
いい顔に迫る資生堂クロストーク「ONE ON ONE」重本沙絵(パラ陸上選手) × 吉岡里帆(女優)<Number Web> photograph by SHISEIDO

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資生堂

資生堂SHISEIDO

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SHISEIDO

女優・吉岡里帆が若きアスリートと語り合い、「いい顔」の理由に迫るクロストーク。今回のゲストは、パラ陸上選手の重本沙絵さん。その美しさには強い心が秘められていました。

最初は陸上をなめていた

吉岡 小学生のころから健常者に交じってハンドボールをされてたんですよね。しかも高校時代には高校総体でベスト8に入られて。ものすごく努力を重ねられたんじゃないかなと思います。

重本 中学生になってハンドボール部に入る時、顧問の先生から「何も特別扱いしませんよ」と言われて、それがすごくうれしかったんですね。この先生ならがんばったぶんだけ認めてもらえると思って。でも小学生の時と比べてボールの大きさが変わったり、スピードが速くなったりして、全然キャッチできなくなってしまい…。まず壁に投げて、戻ってくるボールをキャッチするという練習を1年くらい続けました。

吉岡 血のにじむような努力ですね。その結果、スポーツ推薦で大学に進まれたそうですけど、途中でハンドボール部の監督からパラ陸上への転向を打診されたんですよね。その時はどういう心境でしたか?

重本 最初はショックしかありませんでした。それまで普通に生活してきて、髪の毛も靴紐も結べるし、ハンドボールでもスターティングメンバーで試合に出ていたのに、どうしてパラスポーツを勧められなきゃいけないんだろうって。その時にいろいろなパラスポーツの映像を見て、健常者とパラの両方の大会で活躍する卓球選手の存在を知り、まず心が動いたんですね。それに将来は体育の先生になりたいと思っていたので、さまざまな世界を見ておくべきじゃないかなって。それじゃあちょっとチャレンジしてみようかなと思ってはじめました。

吉岡 パラ陸上の走り幅跳びなどで活躍する山本篤選手の姿を見たことも大きかったそうですね。

重本 はい。山本選手のジャンプを見た時にカッコいいなと思ったんです。私自身障害を持ちながら、それまでパラスポーツに対して先入観のようなものを持っていて、それが一瞬でひっくり返されました。涙が出そうなくらい感動して、私も表彰台のてっぺんに上がってみたいなと思いましたね。

吉岡 パラ陸上に転向して、すぐに楽しさは見出せましたか?

重本 いえ、全然(笑)。陸上の「り」の字も知らなかったので、初めはタイムなんて簡単に縮められると思ってたんです。ちょっとなめてたんですよね。でも実際に走ってみたら、1秒どころか0.01秒を削るのもこんなに難しいのかって。そこから少しずつのめり込んでいきました。あとはもう無我夢中というか。

吉岡 でも転向された後、短期間で結果を出されてますよね。パラ陸上への転向を打診された翌年、2015年には世界選手権の100mで6位。16年は日本選手権で100m、200m、400mの3冠を制覇されています。国際大会でも大活躍されて、驚異のスピードで進化されてると思いますけど、そうやって成果を上げることができた理由は何だと思いますか?

重本 11年ほど続けてきたハンドボールを辞めるのは、やっぱり葛藤もあったんです。でもパラ陸上をはじめたからには、しっかり結果を出そうと思ったことが1つ。あとハンドボール部のチームメイトが「離れていてもチームメイトだし、沙絵ががんばるなら私たちもがんばる」と言って、背中をポンと押してくれたんですね。そういう人たちのために、結果で恩返しがしたいなと思って。

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