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<魅せ続ける天才>
武藤敬司「みんな辞めちまったからさぁ」

posted2019/07/09 15:00

 
<魅せ続ける天才>武藤敬司「みんな辞めちまったからさぁ」<Number Web> photograph by Yuki Morishima(D-CORD)

text by

高木圭介

高木圭介Keisuke Takagi

PROFILE

photograph by

Yuki Morishima(D-CORD)

歩くことも苦痛だった両膝にメスを入れ、1年以上のブランクを経て復帰を果たした。日本で、海外で、今もなお熱狂を巻き起こす。この男はなぜ、かくもファンを魅了し続けるのか。(Number981号掲載)

 アロハシャツ姿の武藤敬司はモノマネ芸の定番となる独特の歩き方で姿を現した。これまで階段を歩くには横向きのカニ歩きを強いられていたが、昨年3月、両膝に人工関節を入れて1年以上が過ぎ、ようやく正面向きで階段を歩けるようになった。退化しつつの大きな進化である。

 普段、男性スタッフの要望は露骨に面倒臭がる武藤だが、女性カメラマンの注文にはニッコリ笑顔で応じつつ「OK?」とポーズ。56歳となった現在も飄々とした「武藤流」にはブレがない。実際、両膝に刻まれた手術痕は痛々しいが、周囲に深刻視されないというのも人徳だろう。

 そんな武藤、生涯現役を宣言しているだけに総選挙の投票結果には興味津々だった。

「そりゃ最近は20代女子からのキャーキャーは減ったけどさ、20年前はプロレス雑誌の人気ランキングで10年連続1位だったんだぜ」

 今回は武藤で41位、武藤の化身、グレート・ムタで48位にランクイン。二人のポイントを合わせれば22位に相当する。レジェンド世代を代表しつつ、いまだに元付け人の棚橋弘至や30代の内藤哲也と本気で張り合い続けているのも“らしさ”である。

 今年4月、ムタとして米国でリング復帰して以来、6月には早くも2度目の米国遠征を行った。現在の米国マットの盛況ぶりは武藤の目に「またバブりつつある」と映ったという。そんな中で米国ファンからは昔以上に、戸惑いを覚えるほど熱く歓迎された。

 現地では同時代に日米マットで戦い続けたスコット・ホールやブレット・ハートら懐かしい面々と顔を合わせた。すでにリングを降りている彼らとの再会で自分の立場も再確認することになった。

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武藤敬司
ザ・グレート・ムタ

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