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【NSBC第3期 スペシャルトーク】
太田雄貴×島田社長、特別対談前編。
成功するスポーツ組織の共通項って?

posted2019/06/14 08:00

 
【NSBC第3期 スペシャルトーク】太田雄貴×島田社長、特別対談前編。成功するスポーツ組織の共通項って?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

特別対談で大いに語り合った日本フェンシング協会・太田雄貴会長(左)とBリーグ千葉ジェッツの島田慎二社長。

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

Bリーグ・B1で初年度から3年連続で観客動員数ナンバー1。天皇杯は3連覇、Bリーグは惜しくも2年連続準優勝となったが、成績も含めてBリーグで最も成功しているクラブ・千葉ジェッツの島田慎二社長。
2017年の会長就任以来、フェンシングを「ベンチャースポーツ」と位置付け、さまざまなアイデアで業界に新風を吹き込み、確たる存在感を示している日本フェンシング協会の太田雄貴会長。
Number Sports Business Collegeで連載を持つ2人の「改革者」のスペシャルトークは、今回が初顔合わせ。プロクラブチームと競技団体、立場は違うが、『成功』のためのメソッドや理念は、驚くほど共通点があった――。

太田 5月11日のBリーグチャンピオンシップ ファイナルは惜しかったですね。実はBリーグチェアマンの大河(正明)さんからお誘いいただいていたのですが、スケジュールの都合で横浜アリーナには伺えず、テレビ中継で拝見しました。

 アルバルク東京にリードされて迎えた第3クォーターからの観戦でしたが、富樫(勇樹)選手のスイッチが入って、まさに千葉ジェッツが勢いに乗るかどうかというところで。バスケットは本当に流れのある競技だなとあらためて感じました。

島田 あの試合は3Qと4Qがまったく別のチームのような感じでしたね。一時は19点差あった試合を2点差まで追いついて。日本一を決める試合であのような展開になるのはめずらしいと思います。逆転したら最高でしたが、甘くはありませんでした。ただ、あそこまで追い上げ、最後まで諦めない姿勢を見せられたのは良かったと思っています。

太田 素人目線の質問で恐縮ですが、レギュラーシーズンとチャンピオンシップのファイナルはそんなにも違うものなのですか。

島田 ファイナルで対戦したアルバルク東京とは今シーズン、天皇杯とレギュラーシーズンでは6勝1敗と完全に分が良く、成績から客観的に考えれば今回は行けるかもしれないという自信もありました。ただ、勝負は何が起こるかわかりません。

アウェイに応援に行く文化はこれから。

太田 どの段階で今日はいつもと違うなと感じたのですか?

島田 普段、ホームアリーナで5000人の観客を前にプレーしていますが、ファイナルはそれを上回る1万3000人もの観客が入っていました。昨年もファイナルを経験していますから、選手たちも場慣れはしていると見ていたのですが、試合が始まった瞬間に堅いなと感じました。

 アルバルク東京はBリーグの中で最も多く日本代表選手を抱えるチームで、W杯予選など厳しい戦いや、アウェイでの戦いの中で経験を積んでいます。実力差よりもメンタリティの差が試合開始直後から驚くくらい出ていたような気がします。

太田 今シーズンはジェッツさんとの分が悪かっただけ、アルバルクさんの方がチャレンジャーの気持ちで戦えたのかもしれませんね。ちなみにホームゲーム時のアウェイチームのブースターとの割合は大体どれくらいなんですか。

島田 相手によって9:1の場合もありますが、平均では8:2あたりだと思いますね。

太田 それがビジターになるとどういう比率になるのでしょうか。

島田 サッカーや野球に比べると、ファンがこぞってアウェイまで応援に行く文化はまだ未発達。発展途上の段階だと感じています。

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