Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER

<平成最後のゴールデンルーキー>
根尾昂「上がり眉に込められた明るい未来」

posted2019/04/06 09:00

 
<平成最後のゴールデンルーキー>根尾昂「上がり眉に込められた明るい未来」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

text by

鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

猫も杓子も根尾、根尾、根尾――平成最後のプロ野球開幕前の話題をさらった謙虚な黄金ルーキーは、周囲の喧騒をよそに自らの階段を一歩一歩進んでいる。優等生然としたイメージの裏に秘められた貪欲と反骨の源を紐解いてみよう。

 名古屋駅を降りると、ナナちゃんがユニホーム姿で待っていた。しかも、背中に7番をつけている。一瞬、ギョッとした。

 ナナちゃんとは駅の百貨店前に立つ、身長6.1m、体重600kgの巨大な女の子……、いやマネキン人形である。地元で最も有名な待ち合わせスポットであり、股下をくぐったカップルは結ばれるとか。

 とにかく、彼女が身につける衣装は、その時々の名古屋の街を象徴するといわれている。そのナナちゃんがドラゴンズブルーを身にまとうのは、リーグ連覇を果たした2011年以来のことだという。

 3月15日、ウエスタン・リーグ開幕。

 ナゴヤ球場に着くと見慣れない柵とロープに沿ってディズニーランドのような行列ができていた。さしずめ「60分待ち」だ。

 球場の受付では係員が朝から電話対応に追われている。

『ええ、はい……、ですから、今日出るかどうか、そういうことはこちらではわかりかねまして。ええ、新聞等で報道されている限りのことしか……』

 猫も杓子もナナちゃんも、根尾、根尾、根尾である。一体どうしたというのか。

 東海圏の岐阜・飛騨の生まれという身内っぽさ、甲子園春夏連覇という勝者のイメージ、両親は医師でオール5に近い成績という文武両道の安心感、このドラフト1位が愛される理由はいくつもあるが、まだ何もしていない新人が背負う期待としてはいささか度を超えている。

根尾「ナナちゃんですか。ええ、僕も聞いて、そんなことあるんだ、と……。正直、高校から来た1年目の選手としては体も技術も、もっと積み重ねていかないといけないと思います。実戦に出させてもらっているのはありがたいですが、やはり積み重ねていくことが大事な時期かな、と。もちろん結果は欲しいです。でも、段階があると思うので……。今、自分はこの段階にいるんだと言い聞かせながらやっています」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
ウェブ有料会員になると続きをお読みいただけます。

中日ドラゴンズ
根尾昂

プロ野球の前後のコラム

ページトップ