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<呼吸から始まるコンディション管理>
リーチマイケル 苦しい時こそ空を見上げる。

posted2019/03/29 11:00

 
<呼吸から始まるコンディション管理>リーチマイケル 苦しい時こそ空を見上げる。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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Takuya Sugiyama

常に先頭に立って、プレーでチームを鼓舞するジャパンラグビーの大黒柱。しかしその肉体にはボルトが埋め込まれるなど、決して万全とは言えない。いよいよ間近に迫った勝負の舞台、彼はどのように挑もうとしているのか――。

 強靭な肉体がぶつかり合うラグビーは、もっとも過酷なスポーツだろう。東芝ブレイブルーパス、サンウルブズ、日本代表と3つのチームでフル回転するリーチマイケルも、満身創痍でシーズンを戦っている。

 数々の修羅場をくぐり抜けてきたリーチにとって、ラグビーは「怖いスポーツ」。試合中の恐怖心について率直に打ち明ける。

「試合中は正直、怖い瞬間がある。でもぼくらは、その怖さを乗り越えなければいけない。ビビって腰が引けてしまうと、逆にケガをすることになるから」

 リーチがもっとも怖いと思う瞬間、それはタックルを仕掛ける時ではなく、自分がボールを持って出て行く時だという。

「ラグビーはボールを前に運ぶゲーム。だから、相手を引きずってでも突き進まなきゃいけない。でも、バランスを崩したまま強引に出て行くと、ひざを壊すことになりかねないから」

 ラグビーにケガはつきもの。どれだけ気をつけていても、避けられないときがある。実はリーチの身体には、5つのボルトが埋められている。

「ラグビー選手の中でも、ぼくがいちばん多いかもしれない」と苦笑するが、それらは“最激戦地”で戦い続けてきた勲章。骨折箇所となると、それこそ数え切れない。

試合中、鼻の古傷が気になることが。

 そんなリーチには試合中、どうしても気になる古傷がある。鼻だ。試合中に骨折してから、鼻孔の通りが悪くなってしまった。たかが鼻ではない。鼻の骨折はパフォーマンスを大きく左右する。

 ラグビーは、怖さとともに息苦しさがつきまとうスポーツ。タックルで敵を倒しても、そこで仕事は終わらず、すぐさま立ち上がって持ち場につき、次のプレーに備えて体勢を整えなければならない。この地道な繰り返しの中で、瞬く間に息が上がる。

「ゲームでは滅茶苦茶しんどい時間があります。息が上がって、足がまったく動かなくなるような。こういう時は身体中が酸素を求めていて、日頃から“苦しくなったら鼻から吸え”と指導されていますが、通りの悪いぼくの鼻では、十分な量の酸素を取り込むことができない。そこがつらいところなんです」

【次ページ】 苦しい時、弱みを見せないように。

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