Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER
<ターニングポイント>
香川真司
「世界を変えたダービーの2発」
text by

ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byWitters/PHOTO KISHIMOTO
posted2018/09/18 06:00

2010年のレビアー・ダービーに出場した香川の2点目は、華麗なるジャンピング・シュート。
ドルトムントの太陽として、のちに日本代表の10番になるKAGAWAの評価が一変した貴重な1日に迫る。
「今日は、日本人アスリートの現地での評価が、日本での評価を上回った初めての日かもしれないね」
そう語ったのは、オリンピックやW杯の取材を続けて20年以上になるフォトグラファーの岸本勉だった。あの試合の翌日、ドイツのほとんどの新聞の一面が一人の日本人選手でうめつくされている様子を見て、岸本は確信していた。
そもそも、海外へ出て行く日本人スポーツ選手は、日本でスターになってから移籍するのが定番だ。中田英寿やイチローしかり、最近では大谷翔平もそうだ。
たとえ現地での人気や注目度が高まっても、日本のファンやメディアは現地での高い評価に触れてさらに盛り上がる。だから、現地での評価が日本での評価を上回ることはありえない。
そう考えると、香川真司の移籍は、当時としては実に特殊なケースだった。
2010年7月にドイツへ渡ったとき、日本ではあまり騒がれなかった。彼が日本でプロとしてプレーした試合の大半はJ2でのものだったし、2010年6月の南アフリカW杯のメンバーから落選していたからだ。注目の若手ではあったが、南アフリカW杯で活躍したヒーローたちと比べれば、注目度も評価も高くはなかった。
2010年8月に本誌のインタビューを受けた際には「ナンバーのインタビューは初めて。日本にいたときは取り上げてもらえなかったから(笑)」と語ったくらいだった。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
ウェブ有料会員になると続きをお読みいただけます。
残り: 1548文字
ウェブ有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。