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18勝をさしおいてなぜ10勝投手が?
サイヤング賞・デグロムの突出度。

posted2018/11/22 10:30

 
18勝をさしおいてなぜ10勝投手が?サイヤング賞・デグロムの突出度。<Number Web> photograph by AFLO

打線の援護がない投手としても有名になったジェイコブ・デグロム。しかし数字は彼の偉業を静かに記録していた。

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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 拍子抜けしたというのが、正直な感想だ。

 今年、全米野球記者協会シカゴ支部から、ナ・リーグの最優秀投手賞=サイヤング賞投手の投票を依頼された。2016年に次ぐ2度目のことだった。

 サイヤング賞は、最優秀選手(MVP)などと同じく、全米野球記者協会に所属する記者による投票で決められる。各投票者は上位5人をランキング付けし、ポイントは上から順に1位票=7、2位=4、3位=3、4位=2、5位=1となっている。

 投票者はナ・リーグの全本拠地15都市からそれぞれ2人ずつ投票することになっていて、シカゴからはもう1人、カブスの番記者であるマーク・ゴンザレス記者(シカゴ・トリビューン)が投票することになっていた。

 投票内容は全米野球記者協会の公式サイトで公表されるので、あまりに突飛な投票をすると同業者から遠慮なく詰問されることになる。しかも、そのやり取りを記事にされることも多いので、同業者の鋭い「突っ込み」に理路整然と返答できるだけの確固たる投票理由がなくてはならない。

29人が1位票を投じる圧勝。

 投票の結果はご存知の通り、今季わずか10勝(9敗)のジェイコブ・デグロム投手が207ポイントを集め、123ポイントで3年連続4度目の受賞を狙った今季18勝(7敗)のマックス・シャーザーを退けて初の栄誉を獲得した。全30票中、1位に29票が投じられる圧勝である。

 10年前ならきっと、こんな結果にはならなかったと思う。サイヤング賞は従来、伝統的な投手主要3部門(勝利数、防御率、奪三振)の数字を検討して投票されるものであり、セイバーメトリクス(野球の統計学)が浸透した影響もあって「投手の真価を計る数字は主要3部門だけではない」と選手査定の見方が劇的に変わった今だからこそ、起こり得る投票結果だった。

<サイヤング賞投票結果と投手主要3部門の成績>

1位 ジェイコブ・デグロム(メッツ)   10勝 防御率1.70 269奪三振
2位 マックス・シャーザー(ナショナルズ)18勝 防御率2.53 300奪三振
3位 アーロン・ノラ(フィリーズ)    17勝 防御率2.37 224奪三振

【次ページ】 シャーザーは投手二冠だが……。

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マックス・シャーザー

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