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<防衛戦直前インタビュー>
村田諒太「日本ボクシング界のために、必ずノックアウトで勝つ」 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2018/10/16 11:15

<防衛戦直前インタビュー>村田諒太「日本ボクシング界のために、必ずノックアウトで勝つ」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

僕は結局、人の目を気にするから。

 充実の背景にはほかにも理由がある。世界チャンピオンにたどり着いたことで余計な重圧を肩から降ろせたのも大きい。

「僕は結局、人の目を気にするから『金メダリストとして世界チャンピオン』という肩書きを気にしてしまうんですよ。最低でもその部分は残さなきゃいけないって。でも、もうそこから解放されました。ミドル級にいるからこそ、ここにはビッグマッチがある。だからビッグマッチに向けてチャレンジしていこうっていう気持ちに、必然的になっていきましたね」

 自分に課した最低限の責任を果たしたことで、一種の解放感を得てボクシングと向き合うことができている。これからが本当の意味でのチャレンジだと捉える。

この試合、ノックアウトで勝たなきゃ。

 村田のチャレンジに呼応するように、「DAZN(ダゾーン)」が10月20日(日本時間21日)パークシアターで開催されるブラントとの2度目の防衛戦を日本で独占ライブ中継を行なうことも決まった。ボクシングに参入するダゾーンのチャレンジに、村田は己を重ねようとしていた。

「僕自身、新たな道を切り拓いていきたいという気持ちは強いし、ダゾーンさんにとっても同じような気持ちがあると思うんです。一緒に時代を変えていく、日本のスポーツ文化を変えていくことを一緒にやっていくというのはやりがいを感じています。

 ボクシング界も今、4回戦、6回戦、そして日本チャンピオンであっても、主たる収入はアルバイトというボクサーが多いと思います。それが改善されて、日本チャンピオンであればボクシング1本で生活できるみたいなお金の生まれ方が出てくれば、ボクシング界に貢献したと言えるんじゃないか、と。だから僕はまずこの試合にノックアウトで勝たなきゃいけないという思いがあるんです」

 個人というよりも日本ボクシング全体にとってのチャンス。自分が注目を集めることがひいては日本ボクシング界の新たな展開をもたらすのかもしれない、と。その使命感とロマンも、村田の原動力になっているのは確かである。

 ブラントには一切の敵意を、ボクシングには一層の熱意を。

 ノックアウトで勝つと村田諒太はサラリと言った。ステップを踏んで、大きくジャンプするために――。

村田諒太Ryota Murata

1986年1月12日、奈良県生まれ。中学でボクシングを始め、'12年ロンドン五輪で金メダル。'13年よりプロに転向。'17年、アッサン・エンダムとの再戦で7回終了TKO勝ちし、WBA世界ミドル級王者に。今年4月、エマヌエーレ・ブランダムラに8回TKO勝ちし、初防衛。15戦14勝(11KO)1敗。182cm。

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