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<防衛戦直前インタビュー>
村田諒太「日本ボクシング界のために、必ずノックアウトで勝つ」 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2018/10/16 11:15

<防衛戦直前インタビュー>村田諒太「日本ボクシング界のために、必ずノックアウトで勝つ」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

いい選手だけど、おいしい相手。

 しかしチャンピオンは表情を変えることなく「おいしい相手」と言い切った。

「もちろん、いい選手だとは思いますよ。パンチはそれなりにありますし、距離も長い。ゴールデン・グローブの優勝経験もあって、ボクシングとしてはまとまっていると感じます。ただ、飛び抜けていないのも事実。僕としてはWBAからの指名挑戦者なので、勝つことに対して非常にメリットがあるなって思っています」

 上位ランカーとの指名試合をクリアすれば、その先にあるのはビッグネームとの超ビッグマッチだ。

「ホップ」が世界タイトルの奪取なら、ラスベガスでの今回の防衛戦は「ステップ」。そして「ジャンプ」がミドル級のトップオブトップを決める戦いになる。

 対戦を熱望してきたゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)は9月15日、サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)との再戦で超僅差の0-2判定でプロ初黒星を喫してしまった。ミドル級は戦国時代の様相を呈している。ブラントに“ただ勝てばいい”では評価は上がらない。「ジャンプ」に持っていくためには結果同様、内容が問われるファイトになる。

今年4月にイタリア人アウトボクサー、エマヌエーレ・ブランダムラをTKOで下し、世界ミドル級王座の初防衛を果たした。

 ラスベガスでの試合は'16年7月以来、3度目、初めてのメーンだ。ミドル級のタイトルマッチとなれば注目度も違う。エンダムや初防衛戦の相手となったエマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア)も下してきた代名詞の右ストレートで本場のファンをつかむ必要がある。

 ブラントも村田の右を警戒しているのは間違いない。ロング砲を得意とするチャンピオンの適距離をつぶしてくることも、十分に考えられる。それも頭に入れたうえで村田はいかなる状況でも相手に逃げ場を与えないように、ジムワークではショートパンチの習得に精力的に取り組んでいる。どの距離にも対応して相手を追い込み、右ストレートが火を噴けば最良のシナリオに持ち込める。しかしそれはブラント対策というよりもむしろ、己のスタイルの進化の過程だと彼は考えている。

 求道者の顔をのぞかせる。

「どうしてこういう左フックが今まで打てなかったんだろうとか、今になって見えてくるものもあるんです。まだまだよくなるという感覚が全然あるし、突き詰めていきたいと思える自分がいる。32歳ですけど、まだまだこれからだって思えるし、ボクシング自体を楽しめています」

【次ページ】 僕は結局、人の目を気にするから。

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