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<防衛戦直前インタビュー>
村田諒太「日本ボクシング界のために、必ずノックアウトで勝つ」

posted2018/10/16 11:15

 
<防衛戦直前インタビュー>村田諒太「日本ボクシング界のために、必ずノックアウトで勝つ」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

“闘う哲学者”とも言われ、普段は穏やかな王者が怒っている。次の挑戦者サイドの振る舞いが、自分に対する“リスペクト”に欠けるからだ。それでも冷静に、己の拳で時代を変え続けるために勝利を誓った。

 いつになく村田諒太はカリカリしていた。ボクシングの聖地ラスベガスに、ミドル級チャンピオンとして立つことが正式に決まったというのに。

 いらつく要因はWBAからの指名挑戦者ロブ・ブラント(アメリカ)側の振る舞いにあった。チャンピオンに対するリスペクトを欠く交渉、言動があったことが村田の耳にも届いていたからだ。

「ちょっと感情的になっている自分がいるんですよね。なめんなよ、というか。ボクシングって、やっぱりお互いにリスペクトする気持ちって大事じゃないですか。交渉の場にあっても失礼なことがあってはならないというのが個人的にはあるし、それが少し欠けていたんじゃないかな、と」

 表情は穏やかだが、言葉のトーンが時折はね上がる。敬意を表さないヤツには、敵意で返すのみである。

エンダムとの間に生まれた敬意。

 リスペクト――。

 お互いを認め合い、拳を交えて死力を尽くす。それがボクシングの醍醐味なのだと村田自身、感じてきたことだ。WBA王座を懸けて2度戦ったアッサン・エンダム(フランス)ともそうだった。

 昨年5月の第1戦は物議を醸す判定負けに終わった。だが村田は「楽しかった」と振り返った。最終12回を終え、エンダムのほうから近づいてきたという。

「だからムラタ言ったろ、俺たちは素晴らしい夜を過ごすんだって」

 数日前の調印式でエンダムが「It will be great fight」と口にしたことを思い出した。村田もすぐさま「ありがとう」と返した。翌日にも感謝の言葉を伝えてインスタグラムにツーショット写真をアップしている。敬意がお互いの力を引き出し、お互いの記憶に深く刻まれるファイトになった。

 あの敗戦を踏まえて村田は成長を遂げ、5カ月後の再戦でタフなエンダムにTKO勝ちを収めた。エンダムも村田の強さを認め、再びの健闘を称えて抱き合っている。

【次ページ】 完全なる敵意をもって臨む一戦。

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