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ロンジンから世界のジュニアたちへ。
「トップレベルの経験」という贈り物。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2018/04/19 11:00

ロンジンから世界のジュニアたちへ。「トップレベルの経験」という贈り物。<Number Web> photograph by LONGINES

「いつかまた、そして1番になりたいっす」

 優勝したビーニ選手にとってもLFSCは得難い経験だったようだ。

「オーレを滑るのは初めてで固い雪質だけど、滑りで自分の長所を出せてよかったよ。各国の選手たちとコース以外でいっしょに時間を過ごせたのは貴重な体験だった」

 彼にはトロフィーと副賞であるロンジンの高級ウォッチが贈られた。ロンジンは、さらに優勝選手の所属先であるイタリア連盟へ奨励金2万ドルを贈与している。

 レースから一夜明け、日本へ帰国する桑原選手とストックホルムの空港で立ち話をした。傍らのスポーツバーでは、後にしたばかりのオーレで盛り上がるワールドカップ最終戦が生中継されていた。

「カナダの選手と2段ベッドを分け合ったり、『電気消さないでくれ』って英語や身振り手振りで話しかけてみたり。こんな経験は初めてだったので緊張して」

 LFSCでの日々を振り返った彼は、画面に映るレースに一瞬目をやってから続けた。その言葉には、数日前とちがう意志の力がこもっていた。

「いつかまた、(LFSCで戦った)彼らとワールドカップでやりたいです。そして1番になりたいっす」

 彼ははにかみや萎縮する気持ちをオーレへ置いてきたのだろう。

 ロンジンはまた一人、未来のリアル・アルペンレーサーを生み出したのだ。

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