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ロンジンから世界のジュニアたちへ。
「トップレベルの経験」という贈り物。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byLONGINES

posted2018/04/19 11:00

ロンジンから世界のジュニアたちへ。「トップレベルの経験」という贈り物。<Number Web> photograph by LONGINES

日本人歴代最高順位でも味わった悔しさ。

 公平を期すため、1本目の順位から逆にスタートした2本目は、いきなり最初に滑ったドイツの選手が自己ベストを更新して、合計タイム2分23秒77でトップに立った。

 すると以降の韓国、フィンランド、カナダの選手達も次々にトップタイムと首位を更新。観る側にも熱が入る展開になった。

 果たして5番目にスタートした桑原は勢いよく飛び出した。ターンする毎にスキー板がたわんで、エッジが雪しぶきを上げる。1本目から縮めて、合計タイム2分17秒46を出した彼は一躍首位に躍り出た。

 だが、直後に滑ったアメリカ選手から3秒近く上回られると、その後“ルームメイト”のスウェーデン選手やフランス選手にも追い抜かれ、首位の喜びは長く続かなかった。

 最終的に栄冠を手にしたのは、2本ともトップだったロレンツォ・トーマス・ビーニ選手(イタリア)。合計タイムは2分12秒16だった。

「ターンのエッジングが自分は長すぎて、ズレたり流れたりする部分があったんですけど、イタリアやフランスといったヨーロッパの選手は、縦にエッジを立ててしっかり踏み込めていた。そこがタイム差の大きな原因だと思います」

 レース後、桑原選手は欧州勢との差を冷静に分析した上で、カテゴリーが上がる来年度からはフィジカルトレーニングにも力を入れていきたい、とさらなる成長を誓った。

 LFSC始まって以来の日本人歴代最高成績である5位にも満足していないのだろう。表彰式では口を真一文字に結び、寒気の中で身じろぎもせず無言で壇上の3人を見つめていた。同年代に敗れた悔しさは必ず明日への糧になる。

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