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北澤豪 「走り続ける理由」
~東京マラソン2015プレビュー~

posted2015/02/09 11:30

 
北澤豪 「走り続ける理由」 ~東京マラソン2015プレビュー~<Number Web> photograph by Tadashi Shirasawa

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

PROFILE

photograph by

Tadashi Shirasawa

昨年の東京マラソンを走るランナーの中に“ドーハ組”の北澤豪の姿があった。 「2度と走りたくないと思うくらいツラかった」と言いながら、今年もまた東京の街を走るという。 46歳になる日本のダイナモが、それでも走り続ける理由とは――。

 全国のランナーたちが一同に集うビッグイベント、「東京マラソン2015」の開催がすぐ間近に迫ってきた。

 2007年にスタートした同大会は、今年で9回目。8月に北京で開催される世界陸上の代表選考会(男子のみ)を兼ねたこの大会には、男女合わせて約100名のエリートランナーが参戦する他、提携大会からの推薦による準エリートランナー、完走を目指す一般ランナー、車いすランナーなど、「走ること」に対するそれぞれの思いと目的を持った計3万5000人のランナーが一同に会し、“いつもと違う東京”の街を駆け抜ける。

 元サッカー日本代表MFの北澤豪は、初参加となった昨年の大会で見事にフルマラソンを完走した。そのコツについて聞くと、笑顔とともに少し意外な答えが返ってきた。

「うーん……ない、ですね(笑)。ホントにもう、気持ちだけ。だって、42.195キロはとんでもなく長いですから。もちろん、ゴールした瞬間の達成感や気持ち良さはありますよ。ただ……現役時代から『北澤はよく走る』というイメージがあるみたいですけど、やっぱり、サッカーとマラソンは全くの別モノですよね」

なぜサッカー選手だった彼がマラソンを走るのか?

 そう言いながらも、きっちり完走するあたりはさすが元トップアスリート。昨年のタイムは4時間34分11秒。昨年は大会の1カ月前に20キロを走り切り、コーチの指示に従って「それ以上は走らなかった」という。

「20キロを走る力があれば、最後まで乗り切れると思います。でも、実際には30キロを過ぎてからが本当にキツい。最後の10キロは“永遠”にも感じるほど長い。必要なのは、やっぱり気持ち。もちろん、当日の天候も気にしたほうがいいし、雨などの悪条件下で走る練習もしておくべきだと思います。最後は気持ちで乗り切るために、入念な準備をする。これがすごく大事なんじゃないかな」

 それから耳打ちするように「本当は2度と走りたくないと思うほどツラかった」と“秘話”を明かしてくれたが、実は、北澤には2度でも3度でも走ろうと思える大きなモチベーションがある。それは、彼のユニフォームに付けられたゼッケンにも表れている。

「僕は、チャリティ事業に寄付をして参加資格を得るチャリティランナーとして参加しています。寄付金は様々なチャリティ活動に充てられているのですが、僕は、寄付先の一つであるドナルド・マクドナルド・ハウスの活動を応援したい、チャリティの“輪”を少しでも広げたいという気持ちで走っているんですよ」

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