ニューバランス×NumberWeb  [日本記録保持者が語る、未来への提言]日本のスポーツ文化を次のステージへ。KEEP ON RUNNING 高野進 ニューバランス×NumberWeb  [日本記録保持者が語る、未来への提言]日本のスポーツ文化を次のステージへ。KEEP ON RUNNING 高野進

現役時代は400m走選手として、
世界の檜舞台を駆け抜け、
引退後は指導者として、
日本陸上界を牽引し続けてきた高野進。
今なお「自分はアスリート」と語る
高野が目指す未来とは――。

松原孝臣=文 text by Takaomi Matsubara
白澤正=写真 photographs by Tadashi Shirasawa

01 アスリートとは常に全力で「今」に取り組む人間です 01 アスリートとは常に全力で「今」に取り組む人間です

今なお、その記録は古びることなく輝いている。オリンピックは計3度出場。1992年のバルセロナ五輪の陸上400mでは、短距離種目で日本選手として60年ぶりのファイナリストとなり8位入賞を果たした。その前年に樹立した同種目の自己ベスト44秒78は、26年を経た今なお塗り替えられることなく、トラック種目では国内最古の日本記録として記されている。

それらの事実が、日本でいかに突出した存在であるかを物語る。当時も、その後も対抗するレベルの選手がいないことに、高みを目指し、厳しく身を持してきた孤高のアスリート、というイメージすら浮かぶ。

だが、当の本人、高野進は否定する。

「若い頃から将来は世界の大舞台でだとか金メダルとか、そんなことを考えたことは微塵もないですね。やっているときは、ストイックだと思ったこともないし、楽しんでやっていた。楽しくないと続かないじゃないですか」

次の言葉もまた、高野のあり方を物語る。

「よく使っている言葉なんですが、だいたいのところ、肯定的、あるいは建設的無抵抗主義者なんですよね。人生設計してやってきたわけでもない」

ある意味、流されて、トップアスリートとなり、のちに日本陸連の強化委員長となり、オリンピックで監督を務めるに至ったと言う。

では何が、日本陸上界に大きな存在感を残すまでに至らしめたのか。

「下り坂と平らな道とちょっと斜めに上がって行く道、どれを行こうかなというとき僕は必ず斜めに上がって行く道を進む。急な壁は上ろうとしない。ただし、今あることに対しては徹底的に取り組む。そして見えてきたものに対して、また徹底的に取り組んできたということです。壁にあたったと思ったこともないですね」

現在も「アスリートとしての本能とともに生きている」と語る高野の、今を全力で生きる姿勢は徹底している。

「トレーニングもきちんとしているし、栄養管理も徹底しています。できあいのものを買って食べたりはしないですね」

若いアスリートへ向けてのアドバイスもまた、一貫している。

「夢を見ながらも、目の前の現実、ステップをいかに上がるか、工夫しながらチャレンジすることですね。高い目標を掲げたとしても、結局何もしていない人はいる。まず日常からだと思います」

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