「何連覇したとか3冠したとかは後から聞いて驚いたくらいなんです。そこに意識を向けていなかったので」
今年6月の日本選手権。
鈴木は50m、100m、200m平泳ぎで3冠、50mで9連覇という快挙を成し遂げ、圧倒的な強さを見せていた。周囲は「3冠」「9連覇」という数字に沸き立ったが、彼女自身の視線は記録更新という一点に注がれていた。記録への渇望は、どれか一つに絞るのではなく、全ての種目をやり切る道を選ばせている。
瞬発力の50mから持久力を要する200mまでを戦い抜くことは、身体にも心にも大きな負荷をもたらす。その積み重ねのなかで鈴木は身体との向き合い方に変化を感じ始めた。
「めちゃめちゃしんどいですよ。正直、やりたくないことをやっているので」
そう言いながらも、彼女の表情からは充実ぶりがうかがえる。

鈴木は2012年ロンドン五輪で100m銅・200m銀・メドレーリレー銅の3つのメダルを獲得。個人種目での複数メダル獲得、そして同一大会での3つのメダルは日本女子初の快挙だった。
しかし、その後やや低迷した時期が続いた。2016年リオ五輪では準決勝で敗退し、2021年の東京五輪は代表から落選。調子が上がらず苦しい日々を過ごした。そこからどのように復活したのだろうか。
30代になると、身体はただ言うことを聞かせる相手ではなく、その声を聞きながら整えていく伴走者のような存在になっていく。鈴木もかつての厳しいルールにしばられず、無理なく続けられる自分らしいペースへと、そっと舵を切った。「年齢が武器になっているか?」という問いに対し、迷いなくYESという答えが帰ってきて、「経験値になっている」と続けた。
メダルを獲ったロンドン五輪当時よりも「技術的に圧倒的に上手い」と手応えも感じている。かつての自分(過去)に戻ろうとする執着を捨てて、今の自分に何ができるかと真っ直ぐに向き合う。足りないものがあれば、30代であっても後輩のように謙虚に学び直す。そのしなやかさこそが、彼女をさらなる高みへと押し上げている。
動画インタビューでは、30代、ベテランと言われる領域に差し掛かっても日本のトップスイマーであり続けられる秘密をたっぷりと聞いている。

上半身強化に取り組んで「洋服が・・・」
インタビューでは他にも以下のトピックについて話をしてもらっている。
- リオのスタンドで金藤理絵の金メダルを見て
- 50、100、200m。種目を絞る選択肢はなかった?
- 記録更新への純粋なこだわり
- 自分の泳ぎに集中するための戦略とは?
- 上半身強化に取り組んで洋服が・・・
- とんかつもフラペチーノも我慢しない食事調整法
- プライドを打ち砕いてくれたトレーナーの言葉とは?
- 不器用だからこそ長く続けられる
鈴木の言葉には年齢や過去の栄光に縛られず、今、この瞬間をどう生きるかという普遍的なヒントが詰まっている。彼女がどのようにして自分を認め、他者を信頼し、再び水泳を愛せるようになったのか。停滞を恐れず進化を続ける一人の人間の、清々しいまでの生き様が刻まれている。
鈴木の率直な思い、そしてアスリートとしての思考の軸に迫った貴重な動画インタビュー、後編とともにぜひご覧ください。
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