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<苦悩告白>「俺このまま終わるんやろうな」不屈の男・西田有志が自暴自棄になった1年【原因不明の体調不良を超えて】

2023/09/21
日本代表の「左のエース」として君臨する西田有志。強烈なスパイクが持ち味
18歳で代表デビューし、力強いスパイクとサーブ、そして天性の明るさで脚光を浴びた若きスター。だが昨年秋から原因不明の体調不良に苦しんできた。暗闇の中で、左のエースが見出だした光とは――。

〈人は誰でも くじけそうになるもの ああ 僕だって 今だって〉(「人にやさしく」作詞・作曲:甲本ヒロト)

 ザ・ブルーハーツの『人にやさしく』は、西田有志のソウルソングだ。カラオケでも熱唱して「ガンバレ!」を叫ぶ。

「江頭2:50さんのユーチューブを見て、メッチャいいなって。何より心に響くじゃないですか。人に対してやさしくっていうのがとってもいい。だって人にやさしくされたら、みんな嬉しいはずですから」

 見た目はちょっとヤンチャ系。人情味溢れる昭和の不良に似た匂いが漂う。気持ちいいくらいマインドもストレートだ。

 だからだろうか。サウスポーが繰り出す轟音うなるスパイクに、人々は魂を揺さぶられる。思いのたけを全部乗っけてくるから、心にズドンと響く。

 苦しめられてきた原因不明の体調不良からようやく解放され、優勝した8月のアジア選手権では復調の兆しを示す活躍ぶりだった。彼のポジション「オポジット」は対角を意味する。長いトンネルを抜け、最悪から最高に向かう線上の軌道に入った――。

'21-'22年はイタリアのビーボ・バレンティアで奮闘した AFLO
'21-'22年はイタリアのビーボ・バレンティアで奮闘した AFLO

 9月4日、沖縄での強化合宿初日。リラックスした全体の雰囲気のなかでも、西田の朗らかな表情は特に目立っていた。

「今こんなに明るくやれているので本来の自分に戻ってきているんだろうなとは感じています。前まではこんなふうにほかの人と話すのも、あまりできなかったんです」

昨秋から謎の体調不良に悩まされていた。

 つい最近まで彼はどん底にいた。

 始まりは昨秋だった。何日経っても高熱が下がらず、いくら厚着しても寒気が止まらない。病院で検査を受けても原因の特定には至らなかった。

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photograph by Yuki Suenaga

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