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「代表引退も考えた」「オレはロックはできない」リーチマイケルが手術と葛藤を乗り越え挑むW杯【独占インタビュー】

2023/09/07
キャプテンという肩書はなくとも、不動のリーダーである。痛恨の一発レッドも学びに変えて、フランスのピッチに立つ。優勝を目指すジャパンの命運は、この男が握っている――。

 フランスW杯に向けてチームを仕上げていく50日間、リーチマイケルは、過去3度のW杯とは違う時間を過ごした。

 ウォームアップのリポビタンDチャレンジカップ5連戦の3戦目、7月22日に札幌ドームで行われたサモア戦で、危険なタックルによりレッドカードを受け、3試合の出場停止処分を科されたのだ。

 問題の場面は日本が10-3とリードして迎えた前半30分、相手陣22m線付近で、相手ナンバーエイトに坂手淳史とともにダブルタックルした際、リーチの左肩が相手の顔面を直撃したもの。

 近年、世界のラグビーでは頭部へのコンタクトに厳罰が下される傾向が強まっている。2003年W杯で優勝したイングランドのフッカーだったスティーブ・トンプソン氏が引退後、W杯でプレーした記憶も失い、同様の症状に苦しむ元選手たちとともに、国際統括団体であるワールドラグビー(WR)を安全対策を怠ったとして提訴するなど、深刻な事態も生じている。TMO(ビデオ検証)の厳格化も進み、国内試合でも国際試合でもレッドカードの枚数は飛躍的に増えている。リーチのタックルは、勢いよく踏み込んでこそいないものの、坂手の低いタックルを受けてやや棒立ちになった相手の顔面に肩が直接当たっていた。

 リーチを失い、残る50分間を1人足りない14人で戦うことになった日本はサモアに22-24で敗北。試合後のリーチは「レッドカードは初めて。自分の気持ちも下がってしまい、ハーフタイムのロッカールームでもポジティブにならなきゃいけないのに一人で落ち込んでいた。頭が真っ白になってしまった」とうなだれた。

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photograph by Asami Enomoto

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